今年のヤクルトは平成の流線型打線!?
2年連続最下位からの浮上を目指すヤクルトが好気配を漂わせている。12日現在、オープン戦10試合を終えて5勝4敗1分で12球団中5位。1勝11敗1分で最下位に沈んだ昨年とは見違えるような成績だ。
今季から指揮を執る真中満監督は、昨年にリーグトップのチーム打率を残した強力打線を攻撃型に組み替えた新打順構想を持って、今季の戦いに臨んでいる。1番・山田は変わらず。昨年までつなぎ役が入ることが多かった2番には、強打の山田が勝負を避けられないようにするとともに、送りバントではなく打ってビッグチャンスを作るために3番だった3割打者・川端を起用。3番には左アキレスけん手術の影響で復帰が遅れている昨年の4番・バレンティンを置く。そして、選球眼がよく、出塁率が高い“60発男”の後ろを打つ新4番には、昨年の5番で確実性とパワーを兼ね備える雄平、5番には6番だった勝負強い畠山を据えるオーダーだ。
この強打者が切れ目なく連なる打線は見て、“流線型打線”という言葉を思い起こした。50年代に西鉄ライオンズの黄金時代を築いた名将・三原脩監督が提唱したもので、1番には1発のある巧打者、2番にも強打者を置いて一気に得点を狙い、3番には最強打者、4番に確実性のある打者、5番に意外性のある長距離砲を置く打線だ。
まさにヤクルトの新打線の考え方と一致するだが、真中監督は「それは知らなかった」と話しており、三原監督の影響を受けたのではなく、偶然の一致。だが、偶然はそれだけではない。三原監督は60年に大洋の監督に就任し、そこでも“流線型”に近い打線を組んで、前年の最下位チームを日本一に導いた。真中監督も昨年の最下位チームの監督に就任。平成の“流線型打線”が機能すれば、秋には日本一という、もう一つの偶然が起こるかもしれない。(デイリースポーツ・洪 経人)