勝みなみ、目標の五輪出場には…

 昨年4月の女子プロゴルフツアーKKT杯バンテリンレディースで、アマチュアながら史上最年少15歳293日で優勝を果たした勝みなみ(16)=鹿児島高=は、権利があった直後のプロ転向を見送ったが、結果として、目標としている2020年東京五輪出場、あわよくば来年のリオデジャネイロ五輪(ブラジル)出場へプラスになったのか、あるいはマイナスになったのか。記者の個人的見解を書いてみた。

 勝は2月に都内で行われたデイリースポーツ制定ホワイトベアスポーツ賞表彰式に出席してくれた際、こう話していた。「今季の目標はプロの試合で2勝目を挙げることと、東京五輪を目指して世界ランクを上げることの2つです」。この発言の持つ意味は重い。

 当面の問題としてリオ五輪を例に挙げる。国際ゴルフ連盟(IGF)が発表している五輪出場権は、16年7月11日付の世界ランキング(ロレックスランキング)15位までの全選手(ただし1カ国4選手まで)と、16位以降は1カ国2選手を上限に、男女各60選手に達するまでランキング順に付与される。

 女子について最新の世界ランキングで代表選手を選ぶと、かつて日本は宮里藍はじめ多くの選手がトップ15入りしていたが、現在は皆無。最高が大山志保の48位で2番目は横峯さくらの56位。若手のホープ鈴木愛が57位につけている。勝は200位前後にいたが、現在は200位にも入っていない。仮にこのままリオ五輪日本代表を選ぶとすれば、大山、横峯のベテランコンビということになる。

 とはいえ、勝が日本代表になる可能性がないわけではない。不可能を可能にする格好の前例が、今年2月2日付けの世界ランキングで、男女を通じて世界最年少17歳9カ月で1位にランクされたリディア・コー(ニュージーランド)だ。

 コーは12年の豪州女子ツアー、ニューサウス・ウェール女子オープンを14歳9カ月5日で優勝し、プロ大会史上世界最年少優勝者となった。米女子ツアーではCNカナディアン女子オープンを同ツアー史上最年少15歳4カ月2日で優勝し、13年10月にプロ転向した。

 本格的にプロとして米ツアーに出場した昨年は26試合に出場し、スインギングスカートLPGAクラシックなどで3勝。トップテン入りは15回あり、予選落ちもなし。一気に世界ランキングを上げ、2位に入った今年1月のコーツ選手権後に1位に駆け上がった。

 世界ランキングは過去2年間に付与されたポイントを算出し、中でも直近13週の成績を重視して決められる。ポイントが高いのはランキング上位選手が数多く出場するメジャーをはじめプロの大会。つまり五輪に出たいならプロ転向して世界ランキングの加算対象となるポイントが高いプロツアーに出ることが一番の近道だったといえる。だから、デイリースポーツの表彰式で口にした言葉には、転向しなかったことへの後悔の思いがにじんでいるように聞こえる。

 では、なぜプロ転向を見送ったのか。それは勝のご両親が教員という家庭環境もあり、高校生活を普通に送ってほしいという希望が強かったようだ。JGA(日本ゴルフ協会)の説得もあったという話も聞いた。

 今季、勝は必死になってプロの試合に出ようとしている。既にヨコハマタイヤに参戦し、次戦は4月2日開幕のヤマハレディース。プロになっていれば、普通に毎週ポイントが高いプロツアーにフル参戦できたのだから、じっくりとポイントを稼ぐこともできたはずだ。

 仮に2、3回優勝でもすれば、即五輪代表という道もある。個人の意見だが、勝はプロツアー優勝後に即プロ転向すべきだった。2度目のアマチュア優勝チャンスはそう簡単には巡ってこない。

(デイリースポーツ・松本一之)

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