高田純次「テキトー」に隠された真実
「高田純次」といえば、どんなイメージが思い浮かぶだろうか。「テキトー」「いい加減」といった類いのキーワードが多く出てくるだろう。そんな男がなぜ約30年間にも渡って世間に受け入れられているのだろうか。
まず注目すべきは、高田を嫌いという人がなかなかいない点だ。昨今、毒舌を売りにする芸人やタレントは数多く存在するが、彼らには賛否両論が付きもの。ここに高田との違いがあるのではないだろうか。高田はいい加減なことを常に言っているイメージがあるが、人の心を傷つけたり、不快にさせる発言をしていない。テキトーなことを言っているようで誰よりも頭を使った発言をしているのが「高田純次」たるゆえんなのかもしれない。
もう一つは人を笑顔にさせる力である。高田の周りはいつも笑顔であふれている。緊張感がある場でも、一つ、高田が冗談を言うだけで場が和む。報道陣に向けた場でもその傾向がある。4月20日に行われた下着メーカーのイベントでも、得意のテキトー発言で報道陣の笑いを誘った。
「寝る時は全裸で寝ている。布団の綿で包まれる感じがいいんだよね」「ぼくはトランクス派。モノが当たるから生きているなと感じることができる」などと、プライベートな事実を盛り込んでくれた。写真撮影の際には、高田本人も楽しくなったのだろうか、最上級のおふざけ顔でサービスポーズを決めた時に足をつった程だ。
この時、記者が感じたことは「テキトー」や「いい加減」の裏に隠された周囲への配慮と洞察力である。周りの人間も高田のような発言があると雰囲気も良くなり、皆がリラックスした状態になる。場の空気を変えることができる人間はなかなか存在しない。それができるということを高田は自ら分かった上で、期待される役割を果たしているのだろう。これも熟練された“技”なのかもしれない。
私は今年4月入社の新人記者で、現場経験もまだ数えるほどしかない若輩者だ。その中でも高田のいた現場は群を抜いて印象に残った。毎回の現場が新鮮であると同時に緊張しているが、高田の冗談混じりの発言はそんな緊張を緩めてくれる力を持っている。これぞ“エンターテイナー”といった姿をまじまじと見せつけられた。
高田の代表的な出演番組と言えば、1985年から96年まで放送された日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」かもしれないが、団塊世代の68歳は今でもまだまだ現役だ。高田は唯一無二の存在だと、「元気が出る~」の“全盛時代”をリアルタイムで知らない平成生まれの記者は僭越(せんえつ)ながら思っている。そして「次世代の高田純次」が現れることにも期待している。こういった存在が増えるほど、日本は明るくなるのではないだろうか。
(デイリースポーツ・田中哲)
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