首位から急降下…ヤクルトのV字回復は
ヤクルトが苦しんでいる。2年連続最下位からの脱出を図り、真中監督が就任し、FAで成瀬、大引を獲得するなど積極的な補強を進めて迎えた今季は開幕から好調で、貯金は最大6に達し、4月29日まで首位を走っていたが、そこから一気に急降下。7連敗を喫するなど、わずか2週間あまりで最下位に転落した(15日現在)。
原因は一言では言い切れないだろうが、ヤクルトの“恒例行事”とも言える故障者の続出がその一つなのは間違いないだろう。まず、今季は開幕ローテに入り、ブレークが期待されていた2年目の杉浦が肩の張りを訴えて4月20日に抹消。昨年に左アキレスけんを受けた主砲のバレンティンが4月24日に公式戦に復帰したものの、試合中に左大腿直筋肉離れを起こして再び離脱し、13日に帰国した。さらに、大引が5日に左わき腹肉離れで抹消。雄平も3日に左ふくらはぎに死球を受けて3試合欠場した。
ここまで故障者がでると、チーム状態が悪くなるのも無理はない。杉浦、バレンティン、大引の復帰は6月以降となる見通しで、ヤクルトの正念場はしばらく続くかも知れない。
ずるずる落ちるのか、V字回復を見せるののか。明るい材料はある。まず、調子を落としている主軸の山田と雄平。2人は昨年もこの時期は打率2割台の不振に陥っていた。しかし、5月の後半に入ると打ちまくり、雄平は5月の月間MVP、山田は交流戦の首位打者に輝く活躍をみせた。データを見れば、2人の調子はこれから上がっていくことが期待できる。
投手では長期離脱組の復活も近い。右肘じん帯を手術した実績十分の館山と右肩を手した161キロ右腕の由規は2軍で実戦復帰を果たし、登板を重ねている。順調にいけば2人とも前半戦中に1軍復帰する可能性もある。
主軸の復調、故障者の復帰、長期離脱組の復活が重なったときには他球団に全く引けを取らない戦力が整う。それまでの苦しい時期を我慢することが、再び優勝争いに加わることにつながる。“つばめ改革”はこれからだ。(デイリースポーツ・洪 経人)