8・6秒バズーカーに対抗心燃やす男…
リズムネタで大人気の芸人「8・6秒バズーカー」にボクシング界から対抗心を燃やす男がいる。大阪市西成区の渥美ジムを率いる“ビッグ東”こと大東旭会長代行(45)だ。
「ラッスンゴレライ」のフレーズを耳にすると、いつもは柔和な顔が一変し、「やめろ!聞きたくない」と耳をふさぐ。実は、愛息・翔生(しょうい=22)は東良介(22)と「ダブルヒガシ」のコンビ名で活躍する吉本の芸人。「8・6秒-」とは大阪NSC36期生で同期なのだ。
父は現役時代、豪打を武器に日本スーパーウェルター級王座を10度防衛し、その後、K-1にも参戦した猛者。お笑いには詳しくないものの、息子かわいさのあまり、同期の“チャンピオン”がねたましくて仕方がないらしい。
「8・6秒-」には差を付けられたが、“「ダブルヒガシ」も着々と出世している。「同期の中ではトップ10くらいのいいポジションに生き残ってるらしい。次々と同期が辞めていく中でね。知り合いの師匠にも『優秀らしいですよ』と言ってくれる方もいて、甘い世界じゃないけど、可能性あるんじゃないかと」と父。先日も若手芸人の“登竜門”の舞台「5upよしもと」に36期生で唯一、上がったという。
ネタは正当派のしゃべくり漫才で息子はボケ担当。大学2年時に大学を辞めて、芸人になる決意を聞いた時、父は即OKした。
「翔生が何かやりたいと言ってきたのは初めてやったから、うれしかった」と振り返る。ただ夫人からは「何、勝手なこと言ってるの!」と父子ともども、こっぴどく怒られたそうだ。
知り合いの大御所師匠に紹介し顔を売ることも画策したが「余計なことはやめてくれ」と息子。「世の中が分かってへん。使えるものは使わな」と父譲りの頑固さが歯がゆい。
「8・6とは路線が違うし、地道にゆっくり行って欲しい」と劇場に足を運び、父は見守る。ただ「一つ問題がある。ダブルヒガシの漫才はね、全然おもんない!」と話の最後には、しっかりオチを付けた。
父は現在、元東洋太平洋スーパーフェザー級王者・仲村正男に世界王座を獲らせるのに全力を挙げる。笑いの頂点を目指す息子との争いを問われると、「悪いけど、そこは先に獲らせてもらいます」と、ボケなしに言い切った。
(デイリースポーツ・荒木 司)