世界水泳で新記録狙う大型スイマー小関

 水泳の世界選手権(ロシア・カザン)で、シンクロナイズドスイミング日本代表が07年大会以来のメダルを獲得した。来月2日から始まる競泳も代表チームが26日に現地入りし、臨戦モードだ。

 今大会で金メダルを獲得すれば、来年のリオデジャネイロ五輪代表も内定する。注目を集めそうなのが、男子平泳ぎで初出場の身長188センチ大型スイマー、小関也朱篤(23)=ミキハウス=だ。

 4月の日本選手権では200メートル平泳ぎで2分7秒77をマーク。自己ベストを0秒57縮め、日本史上3人目の7秒台、今季世界ランク1位の好記録で、世界選手権の表彰台を射程に入れた。

 社会人1年目の昨年は、初の代表入りを果たすなど転機となった。8月のパンパシフィック選手権で2冠を達成すると、9月のアジア大会でも3種目すべてで表彰台に立ち、平泳ぎのエースに登りつめた。

 山口観弘(東洋大)が持つ世界記録(2分7秒01)にもあと0秒76に迫るが、本人はきわめて冷静だ。「7秒台でも世界選手権で金メダルを取るのは厳しいと思う」。

 現在、平泳ぎ戦線はし烈だ。100メートルで今季、前人未到の57秒台をたたき出したピーティ(英国)や、12年ロンドン五輪の200メートル金メダリストであるギュルタ(ハンガリー)、アジア大会3冠のバランディン(カザフスタン)ら強力なライバルが待ち受ける。

 中でも小関が特に意識するピーティとは、6月の欧州グランプリで直接対決。いずれも隣のレーンで2位と後塵を拝したが、大きな収穫を得た。「(ピーティは)ターンしてからのスピード、後半の伸びがすごい。自分が勝っている所もあるけど、苦手な部分を比較して参考にする」。

 飛躍の要因は「模倣力」にもある。元々は自由形の選手だったが、日体大3年の時に平泳ぎに本格転向。第一人者である北島康介の泳法を研究し、模倣することで一気に国内トップへ飛躍した。今度は世界最速の泳法を取り込み、「北島さんのフォームとピーティーのフォームのいいとこ取りをする」と、したたかに世界のトップを狙う。

 日本選手権では150メートルまで世界記録ペースだっただけに、課題は後半のスタミナだ。本番直前には米フラッグスタッフで高地合宿を敢行し、パワーアップに成功。「(4月から)持久力が上がった。日本選手権のペースで後半も保てたら世界記録も狙える」と自信をつけてロシア入りした。藤森コーチも「体もかなり絞れて、今まででいちばんいい状態」と太鼓判を押す。

 趣味は漫画、音楽鑑賞などで、特にロックバンドのFACTがお気に入り。「毎日聴いてます。曲がかっこいいし、集中しやすい環境になる」。国内でまだ無名だった09年に高い演奏力が認められ海外デビューしたバンドにあやかり、自身も今夏、世界にその名を知らしめるつもりだ。

 小関が世界新記録と金メダルに挑戦する200メートル平泳ぎは、8月6日に予選と準決勝、7日に決勝が行われる。

(デイリースポーツ・藤川資野)

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