掛布DCと古屋2軍監督との不思議な縁
各地で熱戦が繰り広げられた第97回全国高校野球選手権大会の地方大会。阪神タイガースの2軍首脳陣、選手らも試合速報をチェック。母校の勝敗などに一喜一憂していた。
千葉大会では、古屋英夫2軍監督(60)の母校・木更津総合(在籍時は木更津中央)と、掛布雅之DC(60)の母校・習志野がベスト4に進出。準決勝に勝てば、決勝で母校同士の対決が実現することになった。
「これは古屋との戦いなんだよ」と掛布DC。「速報を伝えてくれ」と記者は伝達係を頼まれた。準決勝が行われたのは7月24日。阪神2軍では、ウエスタン・オリックス戦が行われていた。
結果は、習志野が中央学院に5-2と勝利したものの、木更津総合が専大松戸に1-3の惜敗。「母校対決」とはならなかった。古屋監督は「残念だな~。掛布のとことやりたかったのにな」と肩を落としていた。
今から42年前の夏。千葉大会の準々決勝は、習志野-木更津中央だった。高校時代、古屋監督と掛布DCは甲子園を懸けて対戦した。結果は、木更津中央が延長十一回にサヨナラ勝ち。「覚えているよ。古屋のとこに負けたんだよ」と掛布DCは当時を振り返る。さらに、その後の千葉県選抜チームでは古屋監督が4番で掛布DCが3番。「4番は古屋だよ」と今でも悔しそうな表情を浮かべる。
そんな2人が時を経て、同じ職場で若虎たちとともに汗を流しているのは不思議な感じだ。「不思議な縁だろ?まさか一緒に仕事をすると思わなかったよ」と掛布DC。打撃練習を主に指導するのはミスタータイガースだが、古屋監督もアドバイスを送る。3年目の北條史也内野手は「監督から『猫背になってるから背筋を伸ばすように』と言われて、よくなりました」と手応えを感じている。
監督とDCという立場を超越した関係が2人にはあると思う。かつて全力でぶつかり合い、今は同業者として若虎の育成に努める。両者とも、感慨深いものがあるのではないのだろうか。
ちなみに決勝に進出した習志野は27日、専大松戸に3-7の逆転負けで聖地への切符はつかめず。「野球って怖いよ」。掛布DCがつぶやいた。
(デイリースポーツ・中野雄太)