２０１６年リオデジャネイロ五輪の出場権を懸けたレスリングの世界選手権（米ラスベガス）が９月７日に開幕する。この大会でメダルを獲得すれば、１２月の全日本選手権に出場した時点で代表に内定するだけに、男子フリー７４キロ級の高谷惣亮（２６）＝ＡＬＳＯＫ＝は「最高の状態です」と自信を口にしている。

　「タックル王子」の愛称で知られ、代名詞である切れ味鋭いタックルを武器に、１２年ロンドン五輪で初出場。初の大舞台では初戦敗退に終わったが、昨年の世界選手権（ウズベキスタン）では準優勝を飾り、リオ五輪での金メダルも射程に入れている。

　そんな男子のエースが８月の直前合宿中、「ここ２カ月でいちばん落ちた」という“事件”が起きた。「いや～、堀北真希さんが結婚してしまいましたね…」。２００３年放送のドラマ「ケータイ刑事」に出演していた頃からファンだった女優のゴールインに、さすがにショックを受けた様子だった。

　しかも相手の俳優・山本耕史とは、“交際０日婚”が話題となった。「あれなら僕だっていけたんじゃないですかね。手紙を４０通送った？僕なら５０通送りますよ」。負けず嫌いぶりをのぞかせると同時に、ガックリと肩を落とした。それでもすぐに、「でもいいですよ。リオで金取ります」と、本命の“恋人”に一途になることを決意した。

　先月のポーランド遠征では、出発前に「負けてきます」と予告したとおり、決勝でイラン選手に敗れ準優勝。代名詞のタックルを研究される中でどう戦うかのデータを得る狙いだったが、「大成功！ちゃんと負けて、課題も見えた」と、帰国後は近くで組み合った状態からの攻撃も練習し、“ニュー高谷”が完成しつつある。

　世界選手権、リオ五輪での金メダルは安心してください－そう言うかのように、大舞台に向けてＶ字のど派手な勝負パンツも用意した、とにかく明るい男子のエース。失恋をパワーに変えるかのように、練習後もただ１人、トレーニングルームに消えていった。（デイリースポーツ・藤川資野）