加山雄三 散歩番組で得た人脈を自船に

 歌手・加山雄三(78)が先日、2012年5月からレギュラー出演しているテレビ朝日系「若大将のゆうゆう散歩」(月~金曜、前9・55)を9月いっぱいで卒業することを発表した。「80歳までに自分の船、災害救助船を完成させたい」とういう以前からの夢を達成するため、その時間が必要なことから、週2回以上のペースで収録する同番組をやむなく降板することになった。

 番組は、加山が東京都内、その近郊などを散歩し、現地の人と交流しながら街の紹介をしていくもの。行く先々で、多くの職業の人たちと交流を重ねてきた。そんな中には、特定の分野で日本において最先端の技術を持つ中小企業の方も多かった。

 例えば、軽量で強度の高い素材を作る技術で製品を開発している会社。瞬時にモノを冷凍し、食品などはその鮮度も保(たも)てるという機械を開発している会社。太陽光など自然再生エネルギーを専門にした技術を持つ会社など。

 今回、この災害救助船を造るにあたり、そんな方々が持つ高い技術を取り入れるという。軽量で強度の高い素材は、船のボディーなどに。瞬時に冷凍する技術は食品の貯蔵に。もちろん船の動力には、このエネルギーの技術も。

 「1つの分野を専門としているから技術は相当高い。まだまだ日本には、そんな中小企業がたくさんある。散歩で出会ったことが縁で、協力していただくことになった」と加山。

 もともと「七つの大陸を見たい」と自分の船を造ろうと計画していたが、2011年の東日本大震災の発生を受け災害救助船に変更した。そのため、動力は風力と太陽光。アメンボウ型で大きな津波がきても揺れない。海水から飲み水を1日100トン以上作り出す装置、電力の供給、さらに救命救急設備も装備する。大きさも全長100メートルほどになるようだ。

 自ら船の設計図を書いているが、そんな最先端の技術を取り入れていくために、当初の予定からも変更が続き「現在も設計図を書き直している」(関係者)という。

 町に住む職人たちの技術も結集される船。どんなものになるのか、楽しみだ。(デイリースポーツ・栗原正史)

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