ロッテ痛い!最強セットアッパーの離脱

 あまりに痛すぎる離脱だった。ロッテ・大谷智久投手(30)だ。“八回の男”として今季チーム最多の48試合に登板、28ホールドをマークしていた右腕が、右内転筋の肉離れで戦線離脱。CS進出をかける最も大事な時期に、セットアッパー不在という危機に見舞われた。

 「大谷」というと、今や自動的に日本ハムの大谷翔平投手ばかりがクローズアップされるが、こちらの「大谷」も、球歴の華々しさは負けてはいない。報徳学園ではエースとしてセンバツ優勝に導き、進学した早大でもリーグ優勝に貢献。トヨタ自動車でも日本選手権で連覇を経験している。アマの名門チームで常に頂点に立ち続けてきた“超エリート”だ。

 確かに決して目立つタイプではない。剛速球でねじ伏せる投球スタイルでもないし、体格も上背は176センチと、恵まれているとは言い難い。「(日本ハムの)大谷君は僕とは正反対。背も高くて足も長いし、顔もかっこいいし」と苦笑い混じりに話すが、高校球児さながらの丸刈りを今なお貫き、チームのために黙々とマウンドに上がり続けるその献身ぶりは、地味ながらもプロの魂をにじませる。入団以来、中継ぎローテの谷間で先発もこなすユーティリティープレーヤーとして貴重な存在だったが、昨季途中に勝利の方程式として定着。与えられたポジションでタフに結果を出し続ける右腕にとって、八回の男は“天職”だったと言っていい。

 ある首脳陣は、「どんな場面でも決して動じない。この落ち着きは、アマ時代に培われ、身につけたものだと思う。シーズンの勝負どころで頼りになるのは、こういう選手」と大谷を評していた。チームの誰もに説得力を与える安定感。それは、大谷の野球人生の中で自然と身体に叩き込まれたところに裏付けがある。だからこそ、右腕の離脱が痛いのだ。

 8月31日の診断で、全治3週間。今季中の1軍復帰は微妙だ。自身も、正念場のチームを離れることに「チームに申し訳ないです。50試合登板を目指していましたが、それも難しいかもしれない」と無念の表情を浮かべた。伊東監督は「このチームの面白いところは、誰かがいなくなると、団結心が生まれる」と話したが、大谷不在という決して小さくない穴を、全員の奮起で埋めていく。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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