【サッカー】手倉森ジャパンの招集制限

 16年リオデジャネイロ五輪を目指すサッカーのU-22(22歳以下)日本代表候補合宿が23日から神奈川県内で行われる。来年1月の五輪アジア最終予選(カタール)まで2カ月を切った中での重要な合宿となるが、19日に発表された代表候補メンバーはわずか16人だった。

 Jリーグチャンピオンシップ(CS)に進出した広島と浦和に加え、CSの可能性を残すFC東京、G大阪やJ1昇格プレーオフに出場する可能性がある磐田、福岡などの所属選手を招集できなかったことが理由で、J1、J2最終節の結果を受けて追加招集が行われ、最終的には最大25人が参加することになる(※22日には6人が追加招集された)。手倉森誠監督をはじめU-22代表スタッフは何通りものシミュレーションを行い、合宿メンバー選考に頭を悩ませてきた。ただ、招集に制限が掛かる事態は今回が初めてではない。

 8月の京都合宿ではアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝のため、G大阪と柏の選手を呼べなかった。9月はJ3のU-22選抜として活動。J3の規則に合わせ16人のみの招集となり、合宿最終日のJ3町田戦とJ2第33節の日程が重なったため、J2所属選手(磐田GK牲川歩見を除く)を選出できなかった。さらに町田戦では週末のJ1を考慮して一部選手の出場時間に制限が設けられていた。そして、10月の佐賀合宿はナビスコ杯決勝を控えていた鹿島、G大阪の選手を招集できなかった。

 U-22代表の活動は国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチデーに行われないため、選手の招集に拘束力がない。所属クラブの事情が優先され、招集が制限されることはやむを得ないのだが、頭の痛い問題は続く。

 12月7日からの中東遠征にはFIFAクラブW杯に出場するJクラブからは招集できない。同22日からの石垣島合宿にも、事前に最終予選登録メンバー23人が決定しているにもかかわらず、天皇杯に勝ち残っているチームから選手を呼べず、岩波拓也(神戸)、関根貴大(浦和)、鎌田大地(鳥栖)、浅野拓磨(広島)らの招集が不可能となる見通しだ。

 手倉森誠監督は「50人全員で戦う覚悟を持ってもらう」と話し、予備登録メンバー50人の中から可能な限り全員を石垣島合宿に呼ぶ考えを示した。異例とも言える事態だが、手倉森監督は「当初12月までにメンバーを絞り込む予定だったが、まだまだ多くのメンバーを鍛え上げる時期が続く」と前向きな姿勢を貫いた。

 鎌田、関根といった新戦力の示した存在感が、常連だったメンバーに刺激を与え、鳥栖戦で7-0と大勝したように相乗効果を生み出していることに確かな手応えを感じているためだろう。最終予選直前まで競争を継続していくことで、選手のモチベーションを高い状態で維持できる側面はあるかもしれない。チーム形成の最終段階に至ってもベストメンバーを組めない厳しい状況だが、逆境を乗り越えた先に待っているのは、6大会連続の五輪出場だ。

(デイリースポーツ・山本直弘)

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