【野球】オコエ流が新風を吹き込む予感
昨年12月末の楽天グループ納会。同社の社員約3000人が集まったが、記者が目を奪われたのは、そのドレスコードの自由さだった。あくまで社内行事という事情もあるだろうが、スーツやジャケットといった、いわゆる“正装”の人々に交じり、ニットにデニム、スニーカーといったラフないでたちが数多くみられ、それぞれが思い思いの服装で会場を訪れていた。
考えてみれば、立花球団社長をはじめとした球団職員たちの多くが、普段からパーカーにパンツのカジュアルスタイルを主流としている。これには社内公用語が英語であったりと国際色豊かな企業カラーも影響している。また、立花社長自らが定期的に渡米してメジャー球団を視察するなどしており、その中でインスパイアされた方針でもあるようだ。12月から新たに楽天担当となった記者は、これまで漠然とした球界の慣習を勝手に思い描いてきたが、この“楽天スタイル”に、非常に新鮮味を覚えた。
親会社のこういった空気感を察知したわけではないだろうが、くしくもドラフト1位・オコエ瑠偉外野手(18)=関東第一=が6日の入寮の際、他の新人が制服やスーツ着用の中でただ一人、ダウンジャケットとデニムに身を包んで登場した。制服姿を想定していたこちらとしては意表を突かれたが、持ち前のスタイルの良さでサラリと着こなしていたオコエは、実に様になっており、それ自体にはまったく違和感はなかった。
ルーキーは「(慣例を)知らなかった。制服はクリーニングに出しちゃいました」と頭をかきながらも、「これからはプロ野球選手なので」と話していた。制服を脱ぎ捨てることが、プロの世界に飛び込むにあたっての、彼なりのけじめでもあったのだ。結果、たまたまジーンズスタイルを選んでしまったが、それも立派な“オコエ流”なのだろう。
オコエには、良い意味で旧来の型を破っていくようなポテンシャルを感じてしまう。球団それぞれにチームカラーがあるが、楽天には自由な風土が備わっている。そんな土壌とオコエの持つ個性がうまく化学反応し、一流選手に成長することはもちろん、球界に新風を吹き込むような存在になればと、期待せずにはいられない。(デイリースポーツ・福岡香奈)