【野球】掛布2軍と大阪桐蔭の共通点

 阪神の掛布雅之2軍監督(60)と、全国屈指の大阪桐蔭を率いる西谷浩一監督(46)。プロとアマの垣根はあるものの、発展途上の選手を育成する中で、指導の根幹に複数の共通点がある。それは“自主性”の養成だ。

 今年の2軍安芸キャンプではほぼ1クールに一回、選手が自らメニューを考える“自主練デー”を設けた。「今の自分に何が必要か。それを考えて取り組んでほしい。やらない選手は自然と置いていかれることになる」と掛布2軍監督は説明。各自が打撃、守備、自らの課題を踏まえた上で練習に取り組んだ。

 そのスタイルは大阪桐蔭の練習でも垣間見える。今年1月、フリー打撃でバントばかりする選手、木製バットを使う選手、特製の1キロ金属バットを使う選手など各自が目的と課題を設定していた。西谷監督に聞くと「選手に自分で考えるようにさせています。こちらから特に指示はしていない」と明かす。

 さらに練習試合解禁を前にした3月上旬から、西谷監督はミーティングに入ることをやめた。「この子たちはまだまだ考える力が足りない。みんなで考えることによって、成長する要素につながる」。ただ与えられたメニューをこなすのではなく、そこに“考える力”を加える。レベルアップを目指す上で欠かせないスパイスを、2人の指揮官は共通認識として持つ。

 なぜ考える力は必要なのか-。掛布2軍監督はDC時代、若手選手と接する中で「今の子たちはすごくいい子が多い。でもマジメすぎるから全部のメニューを70%の力で、そつなくこなそうとする。ここで抜いたりとか、ここを120%でやろうとか、そんな工夫ができないんだよね」と分析していた。現代教育で競争意識を排除したことにより、向上心やライバル心を持つ子供が少なくなったと言われる。

 新たな技術の習得など、飛躍のきっかけをつかむのが練習の本質。やらされるトレーニングではなく、自分で考え、自分で限界を突破することが成長につながる。西谷監督は良く「練習をやり込めるかどうか」という言葉を口にする。一つのメニューでも必ず“スペース”を開けておき、工夫する、追求していく姿勢を選手に植え付けている。

 ここ10年で4度の甲子園制覇を果たし、プロでも数々の一流選手を送り出す大阪桐蔭。今季からミスタータイガースが監督に就任し、超変革を遂げる阪神のファーム-。両指揮官に交流はないが、その育成プロセスには意外なほど共通項が多い。(デイリースポーツ・重松健三)

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