【野球】阪神ヘイグが示す適応力
中軸としての役割を見事に果たしている。今季、阪神に入団したマット・ヘイグ内野手(30)だ。昨季はブルージェイズ傘下3Aでプレーし、リーグMVPを獲得した実績を手に来日した。
「3番・三塁」を担い、8日の広島戦(甲子園球場)を終えて46打数14安打、打率・304、1本塁打、6打点。キャンプを左脇腹痛で途中離脱し、さらにオープン戦は打率・194と結果を残せていなかったが、きっちりとシーズンに合わせた。
バットを高い位置で構える独特のフォームが特徴。教育リーグ2試合を見た掛布2軍監督は「レベル(水平)に振れている」と称賛する。
一方の守備はスローイングに難があり、開幕前、久慈内野守備走塁コーチは「ここまできたら、あまり言えないよ。気持ちよくプレーしてもらいたいし」と不安要素を語っていた。しかし今のところ、何とかこなしている。
ここまで日本で野球をしていて、一番ギャップに苦しんだのはストライクゾーンの違いだという。米国よりも内角が広く、外角が狭い。そのため「あれ?って思ったことはあった」と振り返る。それでも審判の判定に不満をぶちまけたりはしていない。
「場所が違うから。オマリーさんに聞いたりして勉強しているよ」。前に突っ込んでしまう悪癖をオマリー打撃コーチ補佐と一緒に矯正中。師匠も「タイミングはよくなっている」と話しており、徐々に日本式に適応してきている。
休日だった5日には、こんな一幕があった。チーム宿舎近辺のファストフード店へ行ったところ、米国店よりもサンドイッチの中の野菜が多く“びっくりぽん”。サイズも小さいため「これじゃ足りないよ」と苦笑いを浮かべた。それでも「ただ、食べ過ぎると太っちゃうから」と、ポジティブに日本流を受け入れた。
ヘイグは常々言う。「日本人は真面目。見習わないといけないよ」。郷に入りては郷に従え-。その精神を心掛けているアメリカンは、死球を食らったとしても、何事もなかったのように一塁へ行く。さらなる飛躍を遂げる可能性を秘めているように感じる。(デイリースポーツ・山本祐大)