【野球】清原被告 初公判での哀れな姿

 墜ちたスーパースターの姿は、あまりにも哀れだった。5月17日。東京地裁425法廷。覚せい剤取締法違反の罪に問われた元プロ野球選手・清原和博被告の初公判。丸まった背中に、弱々しい声…。バットで相手投手を震え上がらせた現役時代の面影はみじんも感じられなかった。

 最後に姿を見たのは2014年2月、巨人の那覇キャンプ中だった。グラウンドに表れた清原被告は真っ黒に焼け、上下真っ白のスーツといういでたち。その時の威圧感は半端ではなかった。ベンチ裏の通路ですれ違う際にギロリとにらまれ、震え上がったことを覚えている。

 法廷で何度も口にした「心の弱さ」を、当時はコワモテの外見で取り繕おうとしたのだろう。それから2年。落ち着かない様子で目をキョロキョロさせ、何度も泣きじゃくり、ハンカチで涙を拭く。さらに、検察官に「見えますか」と証拠品を突き付けられ、思わず目を伏せる姿は衝撃的に映った。

 法廷では、現在の体調を「留置、入院で耳鳴り、頭痛がひどいが我慢できる範囲なので大丈夫です」と口にし、弁護人や検察官、裁判官からの質問に対し「なんですか?」「もう一回、お願いします」と聞き返す場面も何度か見られた。更生への一歩として自らが口にした「まずは心と体を健康にする」ことすらも容易ではない印象を受けた。

 判決は31日。どのような判決が下るにせよ、これから薬物を断ち切るための長い戦いが始まる。覚醒剤を購入しては「使っている途中で罪悪感を感じて捨ててしまう」行為を繰り返してきた清原被告が、これまでとは違う「心の強さ」で本当に、更生を果たすことができるか。輝かしい実績を残したスラッガーの真価が問われる。(デイリースポーツ・野畑圭司)

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