【野球】オリックス支える若月は昭和な男 強肩強打の20歳

 オリックスの本拠地で、この登場曲が流れるのを楽しみにしている。「僕が僕であるために」。尾崎豊が1983年にリリースした曲だ。この懐かしいメロディーに乗って打席に向かうのはプロ3年目の若月健矢捕手。95年10月生まれの現在20歳。生まれる前のヒットソングを登場曲にするわけを聞いてみた。

 「インパクトのある曲にしたかったんです」

 洋楽を中心にアップテンポな曲が多い中、確かに目立つ。それだけではないらしい。

 「最近の曲って意味分からなくないですか?ハートに訴えるものがないです。僕は歌詞重視なんで」

 7月は同じ尾崎豊の「シェリー」だった。念のため両親の影響かと聞けば、友人から教えてもらったという。カラオケに行っても今どきの歌は選ばないらしい。

 登場曲だけでなく、この男、どこか昭和の香りがする。今年1月には同期で手術の影響もあり、育成選手だった園部を青濤館の自室に呼んだ。そこで見せたのは高級ワイン、ドンペリニヨン。

 「1軍に上がったら一緒に飲もう」

 さりげない心配りで励ました。その後、7月に園部が1軍昇格すると寮の部屋で祝杯を挙げたという。なかなかいい話。そこに登場するのがバブル期の象徴とも言えるドンペリであるところが、昭和風だ。

 もちろん昭和な男だけが、ウリではない。本業は現在、正捕手獲得へ向け奮闘する日々。6月に入り、それまでの伊藤、山崎勝と実績ある2人の併用から抜てきされると、徐々に頭角を現した。7月にはチームの今季初となる月間勝ち越しに大きく貢献した。福良監督は「若月が大きい。全体がよく見えている。今は大変だろうけど、経験を積めばいい捕手になると思うよ」と高く評価している。

 特にリード面は控えだったころからベンチで戦況を見ながら指揮官の「お前ならここはどうする?」という問いかけに、根拠を持って明確に答えられたという優秀な野球頭脳を持つ。加えて強肩という武器もある。「(二塁送球は)マウンドにいる投手のベルトより下を狙います」という低く速い送球で次々に盗塁を刺した。今では各球団に知れ渡り、盗塁企図自体が大幅に減った。

 打撃も一時は打率3割を超えるなど勝負強さも光った。だが、どれだけ活躍しても「打撃はたまたまですから」とこちらは高倉健ばりに多くを語ろうとはしない。捕手である以上守りが第一というわけだ。

 好きなタレントを聞けば、ニッコリと笑って「橋本環奈」とそこだけは若者らしい答えが返ってきた。

 強肩強打に「男は黙って」という昭和な男がオリックスの浮上を支えていく。(デイリースポーツ・達野淳司)

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