【芸能】懐かしの昭和歌謡を世界一のスナックで JUJUが歌う伊勢佐木町ブルース

 日本を代表する女性ボーカリスト・JUJU(年齢未公表)のジャズライブを聴く機会に浴した。東京・南青山の名門ジャズクラブ「ブルーノート東京」を舞台に毎年恒例となっているライブだが、今年はちょっとばかり驚いた。

 ライブの時期がリオ五輪と重なり、JUJUならではのサービス精神で「夜のオリンピック」と題し“男女のからみについて”トークを展開していたが、突然「その夜感を出すために昭和歌謡を歌います」とJUJUが曲名を挙げたのが何と「伊勢佐木町ブルース」だった。

 この曲は故青江三奈さんが1968年に大ヒットさせた。作詞をあの故川内康範氏が担当し、横浜の繁華街を描いた名曲だが、イントロ部分などにお色気たっぷりの「ハーン」というため息が入る、なんともセクシーな曲だった。世間の親からは「子供の教育に悪い!」と目の敵にされ、青江さんはこの曲のヒットで日本レコード大賞歌唱賞を受けたものの、大みそかの紅白歌合戦ではため息の部分を地声で歌えず、カズーの音に替えられるという屈辱を味わった。

 JUJUは客席に「吐息のところはみんながやってね」とマイクを向け、お色気たっぷりの曲を実にノリノリで歌っていた。ジャズだけに“明るい”というのも妙だが、ブルーノートがいつにない雰囲気だったのは間違いない。

 「伊勢佐木町ブルース」は数々のアーティストにカバーされてきた。中森明菜、徳永英明…そして今年はあの畑中葉子がアルバム「GET BACK YOKO!」にこの曲を収録した。畑中も青江さんが「ハーン」と歌えなかった紅白をよく覚えているそうだ。「何か色眼鏡で見られていたというか…お色気が悪いという雰囲気がありましたよね。そういう曲を偏見なく聴いてもらいたい。だからアルバムに入れたんです」という。

 昭和歌謡には結構“エロい”歌が多い。「ひと夏の経験」(山口百恵)や「純潔」(南沙織)のようにアイドルが青い性を意識させる意味深な曲を歌ったり、奥村チヨの「恋の奴隷」、夏木マリの「絹の靴下」などお色気ムンムンの楽曲などがあった。

 一時はロマンポルノに転向した畑中が歌った伝説のセクシー歌謡「後ろから前から」はその象徴だったが、当時は大人の男性にはカルト的な人気があったものの、歌謡曲としての評価は微妙なものだった。しかし、今は遠藤賢司、玉袋筋太郎、みうらじゅんなど多彩な面々が「後ろから-」を大応援している。JUJUの「伊勢崎佐木町ブルース」を聴きながら、極めて個人的にだが「やっと昭和歌謡の持つ“エロさ”をライブで楽しめるようになったか」と思ったりした。

 10月10日は日本記念日協会が認定した「JUJUの日」。今年は東京・代々木第一体育館を舞台に世界最大のスナック「スナックJUJU」を開店する予定だそうだ。当日は日本各地のスナックママも駆けつけるだろう。世界一のスナックママとして今度は地声のため息付きで「伊勢佐木町ブルース」をスナックママと大合唱してほしいと勝手に思っている。(デイリースポーツ・木村浩治)

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