【芸能】「ゴジラ」「ハイロー」「ワンピ」…キンプリから広がる“応援上映”の魅力

映画「シン・ゴジラ」(C)2016 TOHO CO.,LTD.
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 映画の“応援上映”が広がりを見せている。「声出しOK!コスプレOK!サイリウム持ち込みOK!」をうたい、観客全員でお祭り騒ぎしよう、という試み。主にアニメ映画の上映形態として話題を呼んできたが、今週は「シン・ゴジラ」と「HiGH&LOW THE MOVIE」の実写邦画2作が同時期に開催する。「上映中はお静かに」がモットーだったはずの劇場の新たなムーブメント。その魅力とは-。

 興収60億円を超え、快進撃を続ける「シン・ゴジラ」が“発声可能上映”と銘打ったイベント上映を行うのは、15日で3度目。当日は全国25劇場で開催し、上映後の庵野秀明総監督らの舞台あいさつを同時生中継する。8月15日の第1回が大きな反響を呼び、全国の劇場から「うちでもやりたい!」との声が殺到していたという。

 過去2回の上映を振り返ってみよう。ゴジラが第二形態から第三形態に変身する際には「頑張れ~!」の大声援が上がり、ネタバレになるため詳しくは書けないがラストシーンでは「イッキ!イッキ!」と飲み会ばりの大コール。誰が音頭を執るでもなく自然発生的な盛り上がりを見せる一方で、主演の長谷川博己演じる内閣官房副長官が演説する終盤のシーンでは会場全体が言葉に聞き入って沈黙。奇妙な一体感で進む2時間は、映画というよりライブに近い。

 そもそも応援上映がその名をとどろかせたのは、1月公開の映画「KING OF PRISM by PrettyRhythm」(通称・キンプリ)が話題となったのがきっかけ。通常上映のみの公開直後はヒットにほど遠かったが、応援上映を開始するや大入り満員で異例のロングランに突入。当初1カ月ほどで終わるはずが、いまだ上映が続いている。来年公開の続編の製作も発表された。

 アニメ作品に登場する男性ユニットのスピンオフで、「プリズムショー」と呼ばれるパフォーマンスショーが見どころ。キャラの投げキッスに反応したり、合いの手を入れやすいセリフに返事をするなど、100回を超えるリピーターが現れる“お祭り”と化した。

 過去には「けいおん!」や「ラブライブ!」などでも応援上映が開催されており、キーワードは“アニメ”と“音楽”だった。毛色の違う「ゴジラ」の参戦は、応援上映が市民権を得つつある証左だろう。

 ライブ感覚が魅力とすれば、EXILE TRIBEのメンバーが集結する映画「HiGH&LOW」の応援上映は必然か。5つのチームによる抗争を描き、各チームにはテーマ曲が存在。初めて実施する14、15日の応援上映は、映画の世界観を基にしたコンサートのライブビューイングに合わせて行われる。

 配給の松竹関係者は「コアファンやリピーターがシーンを覚えていて、そこに『待ってました!』と声をあげるお祭り感が合うはず」と分析。劇中にはパンチの効いた不良たちが多数登場するだけに、ネット上では早くも「応援する方も命がけか…」「地獄絵図になりそうな予感」と盛り上がっている。

 動画のネット配信が進み、スマホで映画を見られる時代。各劇場は「映画館ならではの仕掛け」に頭をひねっている。3D上映や、特殊なスクリーンと音響の「IMAX」、可動型の席が特徴の「4DX」「MX4D」など、特別なスクリーンの数は増加の一途。同じ作品をさまざまなバージョンで鑑賞するリピーターも多い。

 映画体験をデジタル方向に進化させたのが3Dや4Dなら、応援上映は超アナログ。同じ作品、空間を共有できる喜び、そして映画の内容を知っていても予定調和にならないライブ感が中毒者を増やしている。

 来週22日には興収50億円を突破したアニメ「ONE PIECE FILM GOLD」が“ファンミーティング上映”と題して開催。「ゴジラ」も「ハイロー」も「ワンピ」も公開は7月で、すでに1カ月以上を経過している。リピーターたちの新たな映画文化として定着していきそうな気配だ。(デイリースポーツ・古宮正崇)

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