【野球】小さな大投手・ヤクルト石川 長く活躍する秘けつとは
今季は、投手陣の不調もあってリーグ連覇を逃し、2年連続のCS進出も果たせなかったヤクルト。そんな中でも左腕エースとして奮闘したのが、36歳のベテラン・石川雅規投手だ。
15年目の今季は7勝(21日現在)をマークし、精神的な支柱としても投手陣を支えた。そして節目の150勝も達成した。身長167センチの小さな大投手。入団1年目に「こんな小さいのによくやるな、と思われるようにいっぱい勝ちたい」と、初々しく掲げた目標を着々と果たしている。
故障が少ない。入団以来、肩や肘で大きな故障をした経験がないという。年齢を重ねるごとに「自分の体に敏感になっている」と人一倍、気遣ってきた。練習や体のケアに取り組む姿勢は柔軟だ。これだけ経験や実績を積み重ねても「凝り固まっていない。話を聞く耳を持っている。自分に合っているものを受け入れる」(球団関係者)という。
剛速球を投げ込むわけではない。技巧派だけに、技術は天下一品だ。「スピードを出す以外のコントロール、変化球と全ての技術を持っている。技術がすごい」と高津投手コーチも舌を巻く。
さらに、ルーキー時代からベテランになった今でも必死に取り組む姿勢は、全く変わらない。高津コーチは「足は速くないし、投げること以外は、うまいわけじゃない。でも一生懸命やる」と目を細める。
ハートは、めっぽう強い。「そこの強さがないとできない」と高津コーチ。石川も「一度つかんだポジション(先発ローテ)は渡したくない。若い人にポジションを渡したくないという思いです。ライバルですから。(若手らに)聞かれたことには答えますよ」。
実績や経験だけで起用されているわけではない。「1年1年の積み重ねです。必死にやった結果です」。闘争心を持って先発マウンドに立ち続ける。そして結果を出し、首脳陣の信頼を勝ち得ているからこそだ。
36歳のサウスポーが現状に満足することは、決してない。「1年でも長くという思いはある」。50歳まで現役を続けた元中日の山本昌広氏に憧れており、“レジェンド”に少しでも近づきたい。そして200勝も大目標だ。
ベテランではあるが、体も心もまだまだ若い。石川は、山本氏のような偉大な投手への道を着々と歩んでいる。(デイリースポーツ・伊藤玄門)