【競馬】通算500勝を達成した松元調教師の馬への思い
10月22日の新潟1Rでグッドスカイ(牝3歳)が勝利し、松元茂樹調教師(68歳・栗東)が、現役では26人目となるJRA通算500勝を達成した。
JRA・G16勝をマークし、02年のスプリンターズS、03年高松宮記念を制したビリーヴや07年のオークスVのローブデコルテなど重賞28勝を挙げ、競馬ファンの記憶に残る名馬を送り出してきた松元師の足跡をたどってみた。
中学まで京都競馬場で生まれ育った松元師。調教師を目指したきっかけについて「東京で仕事をしていたんだけど、飯が食えないようになってね」と苦笑いを浮かべながら当時を振り返る。元調教師である父正雄氏のもと、厩舎で汗を流す日々を過ごした。「全てのことをやったよ。キツかったけど、勉強になったね。次の日に厩舎を開業してもいいぐらい、やり方を体で覚えたね」と修行時代を懐かしむ。
「調教師になりたい気持ちは持っていた。おやじが亡くなって、受からなアカンって思ってね」と最後のつもりで調教師試験を受験し、11回目で合格。93年に厩舎を開業し、初出走は同年9月25日の阪神3Rマンノラモス。2番人気に推され2着と健闘した。同年10月10日の京都8Rをカムシャインで制し、初勝利を飾った。「訳も分からず勝った感じだったね(笑)」と目尻を下げる。
そして、名牝ビリーヴと運命の出会いを果たす。「品のある、走りそうなイメージでね。キレイな馬だったよ」と印象を口にする。「4歳になる前ぐらいから走りだしたんだよね。晩成だったのかな」と振り返る。4歳夏から破竹の4連勝でスプリンターズS制覇を果たすと、翌年の高松宮記念も勝利。名馬への階段を駆け上がった。
開業から松元師が大切にしていること、それを尋ねると即座に「ケガをさせないこと。ケガをしそうだったら休ませる」と答えた。そして父から「とにかく馬の気持ちになって仕事をしないといかん」ということを教えられたという。
「預かっている1頭、1頭に対して努力するだけ。1つ1つ勝ち星を積み重ねてね」と言葉に力を込めた。あと2年少しで定年を迎える松元師が送り出す各馬に、そして松元師の馬への思いに寄り添いながら、これからも注目していきたい。(デイリースポーツ・向 亮祐)