【野球】ソフトバンク育成1位・大本将吾 本塁打王目指す左の大砲
今年も多くの逸材たちがドラフトで指名を受け、厳しいプロの世界へ飛び込む。上位指名の選手だけではなく、下位や育成枠で指名された選手たちが数年後にどんな成長を遂げているかを想像するのも楽しい。そんな“未完の大器”の一人として注目しているのが、ソフトバンクから育成1位で指名を受けた愛媛・帝京五の大本将吾外野手(18)だ。
魅力は186センチ、94キロの恵まれた体から放たれるパワフルな打撃。甲子園経験はないものの、ある野球用品メーカーが実施したスイングスピード計測では今年の高校生の左打者で全国ナンバーワンだったという。中学時代から憧れの選手はソフトバンク・柳田悠岐外野手(28)。偶然にも同じユニホームに袖を通すことになった大本は「ホームラン王になることが夢。早く柳田選手と同じグラウンドに立ちたい」と意気込みを語った。
大本の高校通算本塁打は11本で、決して多くはない。1年時から4番を任されたが、何よりチームの勝利を優先する責任感の強い男は外野スタンドに打球を放り込むことよりも「低い打球で野手の間を抜く、つなぎの打撃」に徹していた。持ち前のパワーが注目を浴びる機会は少なく、本人も「自分がプロに行けるなんて思ってもみなかった」と振り返る。
転機は今年の春。元ロッテ投手の小林昭則監督(49)が就任したことが、大本の意識を大きく変えた。小林監督の着任早々、初めて披露した打撃練習の後、同監督からかけられた言葉は「プロに行けるよ」。そこから新指揮官の指導の下、「バットにボールを乗せるイメージ」の、より力強い打撃フォームに改造。ボールを遠くへ飛ばすという本来の魅力を開花させた。11本の本塁打のほとんどが春以降に記録されたもので、その飛距離がプロのスカウトから評価された。
小林監督は「体格とパワーは高校生離れしている。細かい技術はまだまだだけど、それはプロに行って伸ばしてくれたら。伸びしろは十分にある」と期待を寄せる。
大本は「自分がプロでやっていけるか不安はあるけど、一生懸命練習して技術を高めたい。柳田選手に会う機会があれば、どうすればもっと遠くに飛ばせるのかを聞いてみたい」と目を輝かせた。本塁打王を夢見て育成枠からスタートを切る長距離砲のチャレンジに注目したい。(デイリースポーツ・浜村博文)