【野球】王貞治氏が台湾で奮闘した意味とは?久々に袖を通した巨人の背番号1ユニ
熱気と興奮。その瞬間、球場全体が独特の雰囲気に包まれた。11月20日、台中インターコンチネンタル球場で行われた台湾OB選抜と巨人OB選抜の慈善試合。七回に代打として王貞治氏が登場するとスタンド全体から大きな拍手と大歓声が沸き上がった。
異例づくしだった。両チームの関係者がそれぞれのベンチ前で整列し、打席を見守った。ファンもスタンディングオベーション。相手のバッテリーも郭泰源氏(元西武)と呂明賜氏(元巨人)という日本の野球ファンにとっても懐かしい名前だった。
76歳とは、とても思えなかった。現役時代をほうふつとさせる“一本足打法”。球場全体が固唾(かたず)を飲んだ。スイングをした際に王氏が転倒すると周囲が慌てて駆け寄る場面もあった。結果は空振り三振だったが、球場のファンはもちろん、本人も満足そうに笑みを浮かべていた。
久しぶりに袖を通した巨人の背番号1のユニホーム。「二度と着ることはないと思っていたユニホームを着ることができて、大変うれしく思っています」。目を輝かせ感慨深げだった。あふれ出るかのような巨人愛を披露した。
「ユニホームを着ると気持ちが変わりますよね」「久しぶりにユニホームを着て脈拍が上がる感じがする」。ファンと同じか、それ以上に王氏自身が、興奮していた。
王氏が「日本で歴史がある。誇りに思っている。素晴らしい野球チームの一員」と明言した巨人のOB選抜は、慈善試合で大逆転勝利。プライドをかけた戦いで、台湾OB選抜を倒した。
台湾のヒーロー。巨人は1968年に台湾・台中で春季キャンプを行い、現役選手として参加した。思い出がたくさん詰まった台中で行った慈善試合。王氏の願いは、日本と台湾の球界が盛り上がりそして、さらにレベルアップすることだ。
11月20日。日本と台湾の球界にとって、歴史的な一日になったことは間違いない。(デイリースポーツ・伊藤玄門)