【スポーツ】「田舎のプロレス」は茶番なのか?“萩生田発言”にプロレス界を考える
ここ数日、「田舎のプロレス」という言葉がプロレス界ではなく政治の世界を騒がせた。一連の報道によると、萩生田光一官房副長官が野党の国会対応について「田舎のプロレスと言えばプロレスの人に怒られるが、ここでロープに投げたら返ってきて、空手チョップで1回倒れて、そういうやりとりの中でやっている。茶番だと思う」などと発言したことが野党の猛反発にあい、萩生田長官が謝罪し、発言を撤回したとのことだ。
ただ単に茶番と言うだけでなく、プロレスを例に挙げてしまったことで余計に騒ぎが大きくなったと思えるが、世間のプロレスへの潜在的な関心がにじみ出たようでもある。だが、プロレスファンにとってはあまり気持ちのいい話ではないだろう。
それにしても、なぜプロレスに「田舎」とつけたのだろうか。「田舎」の意味を調べれば、都会から離れた所、人家の少ない所、地方、生まれ故郷、素朴、粗暴などの言葉が出てくる。都会の興行は茶番ではないが、地方の興行は素朴、粗暴で、そこでの「ロープに投げたら返ってきて、空手チョップで1回倒れて」などの動きが茶番に見えたということなのだろうか。
報道によると、萩生田長官は「充実した国会審議を行わなければ、国民のみなさまの目にそのように映るんだという私自身への戒めを込めての発言だが、不謹慎だというご指摘があれば、真摯(しんし)に受け止め、おわび申し上げたい」と謝罪したという。だが、この中の「国会審議」を「ファイト」、「私自身」を「プロレス」に置き換えても意味が通る。そう考えれば、一連の言動はプロレス界への叱咤激励のように聞こえなくもない。(デイリースポーツ・洪 経人)