山田と菊池 セ・リーグ最強セカンドはどっち?
タイプは異なる。だから、ファンに与えるプレーの印象も違う。広島・菊池涼介(26)とヤクルト・山田哲人(24)は同世代であり、ポジションも同じ二塁。ただ、菊池が『守』なら、山田は『攻』の選手。そんな2人の今季を成績やデータを元に比較した。(データ提供はスタッツ・ジャパン)
まずは2人の守備範囲。図にある赤い点は菊池、青い点は山田が今季処理した打球箇所だ。図が示している通り、菊池の方が実に幅広い範囲で打球に対応していることが分かる。右翼手定位置前方へのフライから遊撃寄りに転がったゴロまで。ファンタスティックといわれる動きから“忍者”とも評される菊池に、やはり分がある。
ただ、山田の守備に難があるということではない。今季の山田は133試合に出場。726の守備機会のうち、5失策で守備率・993となる。対して菊池は836の守備機会で守備率・995。打球処理という点で見れば両者に大きな差はない。特筆すべきなのは、菊池の球際の強さと外野へ抜けそうな打球も処理してしまう反応の良さだ。
一方、打撃で両者の特徴がよく出ているのが、打球方向別のデータ。菊池の内訳は左翼方向34・8%、中堅方向34・6%、右翼方向30・5%。ほぼ均等に広角に打ち分けている。対して山田は左翼方向46・2%、中堅方向35・5%、右翼方向18・3%。長打や打点を期待される場面も多く引っ張り傾向が強い。
打順など与えられた役割によって打撃内容も変わる。菊池がチャンスメークなら、山田はポイントゲッター。数字で見て取れる通り、両者ともベンチからの要求に応えているといえる。
タイプが異なる2人は、ほぼ同じタイミングで1軍のキャリアをスタートさせた。
2011年度ドラフトで広島から2位指名を受けた菊池は翌12年6月30日のDeNA戦で1軍デビュー。五回に代打で登場して結果は二飛だった。方や、山田は10年度ドラフトでヤクルトから外れ1位指名。12年4月5日、阪神戦での八回に代打で1軍初出場。左前打を放ち初舞台を飾った。
これまでの受賞歴もそれぞれのイメージがよく出ている。守備の栄誉「ゴールデングラブ賞」は、今年も菊池が4年連続で受賞。一方、打撃や走塁なども含めた総合的な評価で選出される「ベストナイン」は、山田が3年連続の受賞となった。
同じポジションながら、プレーヤーとしての特徴が違う2人が見せる高い技術。両者を対比しながら見ていくのもプロ野球の醍醐味(だいごみ)といえる。(デイリースポーツ・折原良輔)