【野球】1日我慢すれば5千万円 あなたならどうする? オリ・山崎福の場合…

 あと1日、我慢したら5000万円もらえるとしたらあなたならどうしますか。

 我慢するのが痛みだったら。それが原因でこの先、仕事ができなくなるかもしれないとしたらどうしますか。

 そんな究極の難題を突きつけられたのがオリックスの山崎福也投手だ。

 2014年のドラフト1位で明大からプロ入りした弱冠24歳。春先から先発、リリーフで起用され、少しずつ力をつけていった。夏場には先発ローテーション入りを果たした。順調に成長していたかに見えたが、9月7日に異変が起こった。遠征先の博多だった。

 「左肩に今まで経験したことのない痛みを感じたんです」

 山崎福はパニックに陥った。痛みは左肩の奥の方、表現できない場所からきていた。そのまま首脳陣に打ち明け、急きょ神戸に帰って診察することになった。この時点で登録抹消が決まった。診断の結果は「左肩甲下筋損傷」。幸いにも軽傷だった。数日ののちキャッチボールを再開した。だが、将来のある左腕。大事を取って今季の1軍登録は見送られた。

 ここで問題が発覚した。登録日数がいくら数え直してみてもある基準に達していなかった。それはチーム内でも話題になった。

 「あと1日足らなかったらしい」

 ドラフト1位は通常、契約金のほかに出来高払いがつく。山崎福の場合も推定だが入団時に契約金1億円と合わせて出来高払い5000万円で契約したとされている。この5000万円を登録日数不足で山崎福は逃したことが分かったのだ。

 あとで聞けば本人はあと1日で条件をクリアできることは分かっていたらしい。「もったいない」の声はあちこちから聞こえた。

 もしも、自分ならばあと1日、どんな痛みであろうが我慢してから首脳陣に報告しただろうと思う。

 それをしないのが山崎福らしい。

 「チームに迷惑が掛かるんで」

 甘いマスクにスラリとした長身。モデル顔負けのスタイルに女性ファンも多い。ただカッコイイだけではない。男らしい一面もあるのだ。

 出来高5000万円をゲットするためには来季、一からやり直すことになる。チームはドラフト1位の山岡に2位の黒木と即戦力投手を獲得。来季2年目を迎える近藤の評価も高い。ライバルは数多いが、シーズン通しての活躍を期待してしまうのは、やはり彼の人柄なのだろうか。(デイリースポーツ・達野淳司)

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