【野球】育成ドラ8松沢しんがり指名から下克上へ 大型補強の巨人でチャンスあるのか?
今オフ、史上初めてFAで3選手を獲得するなど大型補強を行った巨人。即戦力選手が多く加入していく中、育成ドラフト8位・松沢裕介外野手(24)=四国ILp・香川=は2度のドラフトを経て、しんがり指名からはい上がるべく入団1年目に挑む。
フルスイングからの長打が売りで「ジャイアンツでもパワフルな打撃をアピールポイントにしたい」と意気込む。15年ドラフトで巨人から育成3位で指名されたが、左手手指関節じん帯損傷のため入団を辞退。入団してケガを治す選択肢もあったが、四国ILp・香川の西田真二監督から「(そのまま入って)1年をリハビリで過ごすのはどうなんだ。治してもう1回チャレンジしてみたらどうだ」と助言を受け、決断に至った。
1年が経ち、全115人中115番目のドラフト指名で再びチャンスをつかんだ松沢。再指名までの1年は決して楽な道のりではなかった。15年は打率・275、10本塁打、43打点の成績を残したが、今季は負傷の影響もあり打率・253、2本塁打、17打点。「ケガが治っても、怖さで思い切りはできなかった。イメージでは分かってるのに、体がついてこないもどかしさもありました」と悩んだ時期もあった。
苦難を乗り越え、完治した現在は「気にせずガツガツできる」と患部への不安は一切無い。12月1~15日に行われた、巨人の育成練習の際には「ケガの分を取り戻さないと」と連日居残り練習を行い、黙々とバットを振り込んだ。
入団してからは、練習環境にもありがたみを感じている。独立リーグ時代には、練習場の都合で打撃練習はティー打撃が限界だったという。練習後にはバッティングセンターに通うなどして不足分を補ってきた。その経験をしているからこそ、「野球をすることだけ考えられる。この環境は幸せですね」と充実感をにじませる。
しんがり指名で入団した松沢だが、好例もある。昨秋のドラフトで最下位指名だった巨人・長谷川潤投手(25)は今年3月下旬に支配下選手登録。5月には先発で1軍デビューも飾っており、松沢にとっても支配下、1軍は夢物語ではない。「3軍で終わるわけにはいかない。1回のチャンスをつかみたいと思います」。大志を抱く24歳の目に、並々ならぬ決意がにじんだ。(デイリースポーツ・田中 哲)