【サッカー】オシム氏の元通訳、J2愛媛・間瀬新監督の采配に注目

 J2愛媛の新監督に間瀬秀一氏(43)が就任した。同氏は03年から4年間、J1千葉(現J2)でイビチャ・オシム監督(当時)の通訳を務めた異色の経歴の持ち主。昨季まで2年間はJ3秋田の指揮を執り、1年目が8位、2年目が4位の成績を残している。昨年末に行われた就任会見では、「まずは(J1昇格)プレーオフ進出が目標になる。愛媛のみなさんに幸せや喜びを感じてもらえるようなチームにしたい」と抱負を語った。

 間瀬監督にとって、のちに日本代表監督を務めたオシム氏は「師匠」であり、「監督を目指すきっかけになった人」でもある。

 日体大卒業後、日本ではプレーせずメキシコ、グアテマラ、クロアチアなど海外5カ国のクラブを渡り歩いた。引退後は「海外での経験が生かせる」とJリーグの通訳を目指し、再びクロアチアに渡って現地の大学で語学を習得。そして03年、千葉からオシム監督の通訳としてオファーが届いた。

 「あれほどの名将の通訳ができるとは思ってもみなかった。自分の人生の分岐点でしたね」。オシム氏の哲学的でウィットに富む“語録”を世間に発信しながら、自身もサッカー人として多大な影響を受けたという。

 「監督という仕事は多くの人と喜びを分かち合い、人生を豊かにする仕事。それをオシムさんから感じて、自分もやってみたいと思うようになったんです」。07年に通訳の仕事に終止符を打ち、指導者の道に進んだ。

 オシム氏が語った言葉の中で、間瀬監督のモットーとなっているのが「人の真似(まね)をするな」という教えだ。だから「私もオシムさんの真似はしません」と笑う。師匠の教えはベースにはなっているが、コピーはしない。就任会見では「局面での1対1の優劣がサッカーの勝敗を決める」と球際の強さを求める姿勢を示し、「ピッチ上のあらゆるところからスイッチを入れてゴールに向かうサッカーをしたい」と、自身が目指すスタイルを熱っぽく語った。

 愛媛は2015年、5位に躍進してJ1昇格プレーオフに進出したが、惜しくも準決勝で敗れ、昇格は果たせなかった。昨季は12勝20分け10敗で10位。シーズン後に木山隆之前監督(山形監督に就任)がチームを去り、GK児玉剛、MF内田健太ら主力の多くが他クラブへ移籍した。

 チームは一新されるが、新指揮官は「不安はゼロ」と力強く言い切る。「選手がピッチの中で躍動することが大事。そのために、より一層過酷な練習をしないといけない。しっかり第1節に向けて準備したい」。悲願のJ1昇格へ、だれの真似でもない“間瀬流”のチームづくりに注目したい。(デイリースポーツ・浜村博文)

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