【野球】NPBが侍ジャパンの認知アップ作戦 キン肉マンなどとヒーローコラボ
3月開幕の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界一奪還を目指す野球日本代表「侍ジャパン」。一層の注目度、そして代表の存在を多くの人に浸透させるため、興味深い取り組みが行われている。
その中心にあるのがコラボ戦略。6日は「週刊少年ジャンプ」に連載中の漫画で、人気急上昇中のテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」、さらに12日には同じくジャンプで人気を博した漫画「キン肉マン」と侍ジャパンのコラボが発表された。
ともに2月28日、3月1日に行われる壮行試合・台湾プロ選抜戦(ヤフオクドーム)で、オリジナルグッズ付きチケット、コラボグッズの販売などが展開されるという。昨年3月の台湾との強化試合では、テレビアニメ「おそ松さん」との異色コラボが話題となった。こうした個性的な企画の狙いは何か。
NPBエンタープライズの加藤謙次郎広報部兼事業部主任は「侍ジャパンの認知度を上げるために、若い人たちへアピールするためにどうするかを考えました」と説明する。
その時々で、コラボのコンセプトも違う。「おそ松さん」とのコラボでは、試合そのものの価値を高めるため、野球ファンが少ない10代、20代の女性もターゲットとしていた。
逆にWBCが近い今回は「侍ジャパンが世界一を目指すというストーリーがあるので『ヒーローを目指せ』というテーマで企画を考えました」という。その中でも現在の10代、20代の子供たちに人気のある「ヒロアカ」、40代も熱狂した「キン肉マン」とターゲットの世代を分けてのアプローチを試みている。
チケットの種別にも工夫がある。これらのコラボグッズ付きチケットは、三塁側で売り出されているという点だ。通常のプロ野球ならばホームとビジターが存在するが、代表戦はそれが曖昧だ。侍ジャパンを応援する一塁側を中心とするファンに加え、コラボによって開拓したファンで三塁側を埋める。そうしてスタンドをファンで埋め、侍ジャパンの試合自体を盛り上げていくという狙いもある。
「日本代表という中では門戸も開けておくべきで(ターゲットの)幅は広くてもいい。野球ファンは『?』と思うかもしれませんが」。ただ、野球ファンへ向けての取り組みを忘れてはいない。
壮行試合では「12球団のファンの人たちに、少しでも関わりを持っていただきたかった」と各球団の人気マスコットとチアを集結させる。さらに12球団とタイアップのオリジナルグッズも作成した。
攻めの新規開拓とともに従来の野球ファンにも喜んでもらう試み。言葉にするほど簡単ではない。それでも「ヒロアカ」とのコラボ発表のツイートは2000件。アストロズ・青木がWBC出場を決定した際が6000件だったことを考えれば反響は小さくない。
「少しずつ、手応えは感じています」と加藤広報。地道な取り組みは、WBCでの世界一を目指す侍たちへ注がれる大きな声援へとつながっていく。(デイリースポーツ・中田康博)