【競馬】ピークの状態で種牡馬入りしたモーリス 産駒からも大物誕生を期待
15日に中山競馬場でモーリス(牡6歳、美浦・堀宣行厩舎)の引退式が行われた。古馬になって堀厩舎へ転厩後は11戦9勝(G16勝)、2着2回のパーフェクト連対。香港ではG1昇格後で初となる香港マイル(15年)、香港カップ(16年)の“二階級制覇”を成し遂げるなど、その実績は素晴らしいの一語に尽きる。
今後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬入り。種付け価格は400万円に設定され、即座に満口という高い人気を集めている。スピード全盛の時代にマッチしたタイプだけに、多くの生産者がモーリスの血を求めたのも至極当然の流れだろう。
父スクリーンヒーローの母ランニングヒロインは、社台グループを繁栄させたダイナアクトレスの一族。母メジロフランシスは現役時代に8戦0勝の未勝利馬だったとはいえ、祖母メジロモントレーは牡馬相手のG2を2勝という異質な名牝。母系から底力と同時に気性的な難しさも引き継いだ印象だが、血統背景からは大物の輩出も期待できる。
記者は昨年、香港での勝利を2回とも見届けた。印象的なのは圧勝したチャンピオンズマイル。ノーザンファーム関係者は馬場入りするモーリスを見ながら、「今までで一番の出来じゃないか」とつぶやいた。異国でも動じない精神力。ゆえに実現した究極の仕上がり。海外遠征が当たり前になった今、このメンタル面は間違いなく高評価を得ることだろう。
引退戦の香港カップを勝った際、「一番いい時に引退させるのが一番」と吉田和美オーナーが口にしたように、まだ可能性を感じさせるなかでターフを去ったモーリス。その雄姿をもう見られないことは残念だが、20年にデビューする産駒の走りを楽しみに待ちたい。(デイリースポーツ・豊島俊介)