今やプロ野球選手は他分野のスポーツからさまざまなヒントを得ようとしている。オリックス・吉田正尚外野手は今オフ、アテネ五輪ハンマー投げ金メダリスト・室伏広治氏との合同トレを実現。先輩アスリートから豊富な経験や知識を吸収しようという吉田正の熱意に心打たれた室伏氏が快諾してのものだ。過去には、ボクシングや相撲などを取り入れた選手も。そこで、これまであった他競技との“異業種交流”を振り返ってみる。（敬称略、球団などは当時）

　０３年の猛虎の自主トレは、格闘技界とのタッグが目立った。日本ハムからの移籍１年目だった下柳剛は桜庭和志を相手にパンチやキックを交えてのミット打ち。また、川尻哲郎は、柔道のバルセロナ五輪金メダリストで格闘家・吉田秀彦とのトレーニングを決行。共に９０キロのベンチプレスを上げるなどの筋力トレーニングに励んだ。

　ボクシング界へも積極的だ。中でも、西武の新人選手たちが“出稽古”した例がある。０５年、当時新人だった涌井秀章らルーキー３選手がヨネクラジムで合同トレ。チームのトレーナーとジム関係者が知り合いで実現した。

　このトレーニングの中では、関係者のド肝を抜いた一幕も。捕手の星秀和が、Ｓ・ウエルター級の東洋太平洋王者を相手にスパーリングを行い、クリーンヒットを連発させ周囲を驚かせた。また、広島・栗原健太は１０年に内山高志との合同練習を行っている。

　田中浩康はヤクルト時代の１３年に北京五輪陸上男子４００メートルリレー銅メダリスト・高平慎士に師事。ハードルの下をくぐるトレーニングで、股関節を柔らかくする方法を伝授された。

　今年は、ヤクルト・山中浩史が競輪トレを試みた。必由館野球部の同期でＳ級競輪選手・松岡孝高の指導を仰ぎ、尻周りの筋肉を鍛えた。また、オリックスの佐野皓大は年明けに相撲の尾車部屋へ。四股やすり足、ぶつかり稽古などをこなしたほか、同じ大分県佐伯市出身の嘉風から刺激を受けている。（デイリースポーツ・折原良輔）