【サッカー】欧州移籍ウインドー閉じる 清武移籍、本田残留 日本サッカー界への影響は
慌ただしい月末が終わった。1月31日、それは欧州時間のことだが、欧州サッカー界における冬季の移籍ウインドーが閉じたからだ。
所属クラブで出場機会が得られない日本代表FW本田圭佑(ACミラン)は残留し、同じく雌伏の時を過ごしている同MF清武弘嗣(セビリア)はC大阪への復帰を選んだ。J1王者鹿島のMF柴崎岳はスペイン2部テネリフェへと移籍。それぞれの1月31日が終わったが、その決断が日本サッカーにどう影響するのだろう。
日本サッカー界にとっての“目玉”は清武だった。EU国籍を持たない者として、クラブは放出を前提に移籍先を探した。清武本人の希望もあり、古巣のC大阪が“新天地”として決まったが、これはどうとらえるべきであろう。買い手がつきづらい冬季の移籍であっても、定位置獲得という生存競争が難しいセビリアにおいて、そこから離れて出場機会を得られる環境で再挑戦するのは、世界最高峰と呼ばれるリーガ・エスパニョーラ(スペイン)からJ1への移籍は決して手放しで歓迎できるものではない。
ただ、昨秋の代表戦を見れば明らかなように、清武は既にハリルホジッチ監督が指揮をするA代表の主力級の選手。彼が日本に戻ってくることによって、Jリーグへの関心度という意味では悪いことばかりではない。本人も覚悟を持って日本復帰を決めたはずだ。
気がかりなのは本田だ。所属先のACミランでは、今季十分な出場機会を得られていない。来夏まで残る契約期間などクラブ事情があるにせよ、新天地を求めてもおかしくはなかった状況。欧州内の移籍という側面に限定すれば、本田が残留するという結果になったことは、選択を誤ったというよりも、選べる選択肢が少なかったようにも映る。
大一番となった昨年11月のW杯予選サウジアラビア戦で、FW岡崎、本田、MF香川というこれまでの代表をけん引してきたビッグネームをスタメンから外したハリルホジッチ監督が掲げる“評価基準”に照らし合わせれば、すべてが良い方向に進んでいるわけではない。
ただ日本代表は、時の情勢とは全く別次元で「とにかく勝たねばならない組織」ではないかと思う。自分の成長や、日本代表というチームのこと。それぞれが悩みに悩んで出した結論だったであろう。3月に迎えるW杯アジア最終予選のUAE戦まで、移籍のウインドーは閉じたまま。それぞれは決断を下した。その結末が出るまで、おのおのが苦難の末に選んだ決断と覚悟に注視したい。(デイリースポーツ・松落大樹)