【野球】背番号1が育てる斎藤佑、栗山監督も「若くすべきだと思った」
今までとは違う後ろ姿に見えた。日本ハムの米アリゾナキャンプ。今季から背番号1に変更した斎藤佑樹投手が精力的にキャンプメニューに取り組んでいる。背番号がそうさせるのか、背中から醸し出す雰囲気が違うようにも思える。
昨年、未勝利に終わった斎藤佑。プロ入り後、いちずに背負ってきたエースナンバー18番から、今オフは1番への変更を打診された。驚いたファンもいるだろう。プロの慣例としては成績が伴わなければ数字が大きくなる。ところが1番という、高校時代、早稲田実業で全国制覇したあの輝かしい番号を背負うことになった。
斎藤佑もアマチュア時代の1とプロとでは重みが違うのは感じているようだ。「この結果でこの背番号をもらったのは本当に球団に感謝しないといけない。その分、恩返しできるように、より一層、気を引き締めていきたい」と神妙な表情で話していた。
球団が連覇する上で、必要な戦力とする期待感がひしひしと伝わってくる。栗山監督は「球団の話を聞いて(背番号を)変えるんだったら、絶対に若くすべきだと思った。現場、フロントの期待感の表れだよね」と言った。当の斎藤佑は「重みを感じます」と言う。だが、球団としてはそう思うことを歓迎する。栗山監督は「プレッシャーもかけるためにもね。それも含めて頑張れると思っている。勝負させるぞという意味も込めて。1番だからね。ものすごく期待しているよ」。
キャンプで初めて背番号1のユニホームを着てのブルペン入りの投球を見ていた栗山監督は「かっこよかったねえ」と、高校野球キャスター時代を思い出したのか、感慨深げに振り返っていた。
地位が人を作るという格言があるが、背番号が人を育てると言うべきか、昨年の悔しさをバネに今季に懸ける右腕は、実戦初登板9日(日本時間10日)の紅白戦で2回を1安打1失点も自責0。最速は144キロ、シュート系の球速は140キロ台と昨年とは違う投球を見せている。最速144キロの直球にツーシームを織り交ぜ2回を自責0に抑えた。
「実戦では結果を求めていく。より一層、気を引き締めて競争を勝ち抜きたい」。高校時代のフォームを参考にしながらも高校、大学時代よりも進化したフォーム、投球スタイルで打者を抑え込み、新しい「背番号1」像を作り上げる。(デイリースポーツ・水足丈夫)