【サッカー】FW勝負のC大阪・杉本健勇 眠れる大器は今季こそ“化ける”か
3季ぶりにJ1の舞台へ戻ってきたC大阪は、25日に開幕磐田戦(ヤンマー)を迎える。スペイン1部セビリアから4年半ぶりに復帰した日本代表MF清武弘嗣(27)やFW柿谷曜一朗(27)、MF山口蛍(26)らのタレントに注目が集まる中、飛躍を期待させるのがFW杉本健勇(24)だ。
187センチの長身に柔らかな足元の技術。その潜在能力には誰もが一目置く。2015年5月には日本代表の国内組合宿に招集された。当時バヒド・ハリルホジッチ監督(64)は杉本について「フィジカルがあり、空中戦にも強く、効果的なプレーをする。テクニックのクオリティーも高い」と評価し、かつてC大阪を率いたレビー・クルピ監督(63)も「FWに必要な全てを持っている」と話していた。だが、10年7月にC大阪の下部組織からトップ昇格を果たして以降はJ1通算113試合17得点、J2通算59試合19得点と期待に見合う数字を残してきたとは言い難い。
躍進の端緒となりそうなのが、昨シーズンだ。杉本は左MFを主戦場にしながらチーム最多の14得点を挙げ、J2とはいえ自身初の2桁得点を記録した。結果を出すにつれて言動にも変化が見られ、口調こそ穏やかながら「圧倒的な努力をして結果を残したい」などと力強い言葉を並べた。「どういう言葉を使えばセレッソが注目してもらえるか考えているし、強気な発言で自分にプレッシャーを掛けることで、やらなければいけない気持ちにもなる。有言実行というか、調子に乗っていると思われるかもしれないけど、変わらないスタンスでやっていきたい」。言葉の持つ力も自らの力に変え、杉本は殻を破ろうとしている。
今季はFWにポジションを移して勝負する。尹晶煥(ユンジョンファン)監督(44)は就任にあたって杉本の残留を強く望んだといい、期待の大きさがうかがえる。器用であるがゆえ、中盤まで下がってボールを受け“前向き”でプレーすることも可能だが、今年は最前線で時間を作るプレーやポストプレーなど“後向き”のプレーから前を向くことも要求される。必然的に体を張る局面が増え、いわゆる『デュエル』から逃げないことが必要となる。
宮崎キャンプ中の横浜FC戦(8日)ではゴールこそ奪えなかったが、最前線で果敢に空中戦に挑み、相手と何度も体をぶつけ合った。視察に訪れた日本代表の手倉森誠コーチ(49)も「あれくらい体を張ってくれれば(代表)候補の一人になれる」と目を細めた。清武が加入したことで、今季は代表スタッフがC大阪戦の視察に訪れる機会が増える。杉本も「代表の中心選手がセレッソに入ってきて自分も見てもらえる」と前向きにとらえた。“化ける”ためにゴールという結果を強く追い求めてほしい。数字さえ付いてくれば、おのずと未来は開ける。長く眠ったままの桜の蕾(つぼみ)。開花の時が待たれる。(デイリースポーツ・山本直弘)