【野球】夢をつかむ育成選手とは 育成選手の奮闘に注目
2月後半に入り、キャンプも実戦の時期に入ってきた。若手選手たちが生き残りをかけ、猛烈なアピールを繰り広げる中で、今年は、DeNA・笠井、網谷ら育成選手の奮闘が注目を集めた。
笠井は早大野球部を3日で退部し、プロへの夢をあきらめきれずに独立リーグでプレーし続けた異色の経歴の持ち主。網谷も高卒2年目の19歳ながら、ラミレス監督に「打撃に関しては1軍でやっていけるレベル」と大きな期待を掛けられた。そんな彼らの背番号3桁からの挑戦は、プロ野球ファンにとっても夢あふれる話題だろう。
これまで育成から這い上がり、1軍で主力として定着した主な選手は、岡田(ロッテ)、山口(巨人)、西野(ロッテ)、松本哲(巨人)、千賀(ソフトバンク)らが代表格だ。数いる育成選手の中でも、才能を開花させ、支配下枠をつかんだシンデレラ・ボーイたちの、その違いは何か。
ある球団の編成関係者は「育成で指名する選手の多くは、何かひとつ大きな特徴、長所を持っている。その自分の持つ特徴を、最大限に生かすこと。これができるかどうか。全部うまくなろうとか、欠点を直すとかよりも、持っている長所を磨いて伸ばすことに尽きる」と話す。例えば岡田ならば、俊足と、球界随一とも言われる守備力。また、千賀は最大の武器である「お化けフォーク」を専売特許に、今春WBCで侍ジャパンの一員に名を連ねるまでに成長した。
ただし、甘くはないプロの世界だからこその指摘もある。この時期に結果を出さなくてはいけないのは間違いないが、前出の関係者は「例えば現時点で結果を出していても、今の段階で目一杯だと思う。プロの1軍レベルの選手となると、ここから状態を上げていって開幕に合わせる。年間を通して活躍しなければならないのがプロ。開幕前の1カ月後に、現在くらいの位置にいられれば本物だと思います」と話した。
とはいえ、首脳陣に存在感を印象づけたことは今後に向けプラス材料であることに他ならない。自身の魅力を地道にアピールし続け、夢切符に前進していきたい。(デリイースポーツ・福岡香奈)