【野球】新球を増やすチョイスと増やさないチョイス…二通りの一流投手の信念と覚悟

 あくなき探求心を持って、投手たちが新球習得に挑んでいる。巨人・菅野がチェンジアップ、楽天・松井裕は、ヤンキース・田中から伝授されたツーシームを新たにマスター。西武・菊池はフォークを新たな武器に加えようとしている。海の向こうではドジャース・前田がカットボールを試投した。

 一流投手たちが、さらなる進化を追い求めている。例えば松井裕は、今回の新球習得のの狙いに、WBCでの左打者対策がある。大会公式球はNPB統一球よりも変化の量が大きく、操ることができれば、効果的に沈み左打者の内角を攻めることができる。また、シーズン中で言うと、打たせて取り、球数を減らすという目的もある。守護神として1イニングと言わず、回またぎも辞さないという意気込みを持っているからだ。左腕は、田中から「変化することを恐れるな」と助言を受けたという。投手にとって、実戦で打者の反応を見て新たな球種が使えるとなれば、間違いなく幅が広がりプラスとなる。

 プロの投手としては、二通りのタイプがいる。かつて04年のロッテで、当時のバレンタイン監督が、投手陣全員にチェンジアップ習得を指令した。もちろん、それによって投球の幅が広がり飛躍を遂げた投手たちも多くいたが、ある主力投手は「それを覚えることで、自分がもともと持っている球種のパフォーマンスが落ちてしまう可能性もある」と首を縦に振らず、チェンジアップを自らの持ち球に加えることはしなかった。

 今ある武器をひと筋に極めていくのも、一流の選択。前出の主力投手は「今持っている球種の精度を高めていくことの方が、自分にとっては重要」と己のスタイルを貫き、その後も球界を代表する投手として結果を残し続けた。これもひとつの進化のかたちといえるだろう。

 ある球団の指導者は「今の選手たちは、新しいことに対して抵抗なくどんどんチャレンジしていっていると感じる。今は、高校生の時からチェンジアップを投げたりしているしね」と話す。1つの球種を新たに増やすにしても、増やさないチョイスをするにしても、プロとしての信念と覚悟がある。それだけは確かなようだ。(デイリースポーツ・福岡香奈)

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