【野球】WBC公認球に好感触 救援陣の秋吉は副産物まで得る
3月7日に第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が、いよいよ開幕する。WBCとなれば毎回課題に挙がるのが、WBC公認球への対応。NPB公認球よりも大きく、そして滑りやすい材質に、日本の投手陣は苦しんできた。
どれだけWBC球を操れるか-それは、一つの鍵となる。このWBC球への対応で、いい感触を示しているのが、本大会では抑え候補にもなるヤクルト・秋吉亮投手(28)だ。
WBC球の感想を「大きくて滑るので、指に力が入る。いつもと違うところが張りますね。手首も使うので腕全体が張ってくる」と話していた秋吉。ブルペン後は肩や肘ではなく、前腕部を含めた腕全体にも張りを感じるという。この感覚を知るところから取り組みを始めていた。
沖縄・浦添市での春季キャンプでは、序盤に2日連続でのブルペン投球も敢行。「(WBCは)2連投をすれば1日休まなければいけない。シーズンのように3連投、4連投もないので連投の感覚だけを確かめたかった」と意図を説明した。
連投での腕の張り、さらにケアによる疲労の取り方を確認し「しっかりケアをしたので(張りは)残らなかった。問題ないですね」と準備に余念がない。
さらに変化球の挙動の違いも、大きな副産物となった。スライダーは曲がりが大きくなり、チェンジアップに関しては「揺れながら落ちるような変化になった」という。
そうした違いに苦慮する投手も多いが、秋吉は「曲がり幅も調整できるようになりましたし、低めにも集められている。手応えはあります」と自信を示す。「後は(NPB球とは)変化が違う球で、打者がどう反応するかを確認したいですね」と、宮崎での代表合宿以降に組まれる実戦5試合で仕上げていく段階に入っている。
世界一奪回を目指す侍ジャパンにとっても、秋吉は大きな存在となりそうだ。先発の柱として期待していた日本ハム・大谷がWBC出場を辞退。菅野、武田ら先発陣4人がそろっているとはいえ、球数制限があるWBCにおいて、救援陣の重要性が増している。
「いい場面で使ってもらえたら、結果を残さないといけない。自分の投球をすれば、結果につながると思う」。侍投手陣の救世主となるべく、勝負の時への準備を進めていく。(デイリースポーツ・中田康博)