【芸能】老舗「東宝芸能」が挑むアニソン歌手育成 「海外」目指し奮闘中
長澤まさみや高嶋政宏、政伸兄弟ら多くの俳優が所属する芸能プロダクション「東宝芸能」が新事業に取り組んでいる。それはアニメソング歌手の育成・マネジメント。俳優のイメージが強く、1963年設立の老舗がなぜ今、アニソンなのか。担当の秋元大吾氏(芸能本部第4芸能室グループリーダー)に話を聞いた。
東宝と言えば、昨年大ヒットした「君の名は。」を配給したが、このヒットでアニメ戦略にかじを切った訳ではない。アニメレーベルの「TOHOanimation」が立ち上がったのは12年のこと。“銀幕のスター”を多く輩出してきた老舗から一歩踏み出すことを模索していた。秋元氏は「東宝のグループで言うと、映画と演劇と不動産という3本柱で成り立っている企業という見られ方があるかと思います。近いうちにアニメがもう1本の柱に入ってくると思っています」と語る。
東宝本体を含め、東宝芸能としてもアニメに取り組む理由に「海外」がある。俳優の海外進出は言葉の壁もあり容易ではない。しかし、アニメソングとして作品の一部となれば、世界中の人に受け入れられる可能性がある。歌手、ましてアニソン専門の歌手を育成するとなるとイチからのスタートだったが、「海外でのライブイベントをやれるならやっていきたい」という夢を抱いている。
現在、第1弾アーティストとして活動しているのが、YURiKAと大原ゆい子の2人だ。TOKYO MXなどで放送中のアニメ「リトルウィッチアカデミア」でオープニングの「Shiny Ray」をYURiKAが、エンディングの「星を辿れば」を大原が担当。2曲とも今月22日に発売された。大原は「リトル-」の映画版で主題歌を担当していた流れで東宝芸能入り。さらにYURiKAは昨年開催した「次世代アーティストオーディション」に合格し、「歌手じゃなく、アニソンシンガーじゃなきゃだめなんです」という覚悟を持って業界に飛び込んできた。事務所側も「2人が歌うからこのアニメを見たい、と思ってもらえるようなアーティストにしたい」と、日本を代表するアニソン歌手に育て上げることを目指している。
事務所内でアニソンアーティストの担当は秋元氏を含め2人。東宝のアニメ制作チームも6人ほど。そんな小所帯でも、東宝本体が作品を手がけ、東宝芸能所属のアーティストが主題歌を担当、そして「東宝グループでのライブもやれたらやりたいと思いますね」と野望は大きい。秋元氏は「『東宝芸能は面白い事をしているよね!』と言われたいです。2020年には東京オリンピックが控えているわけで各国から多くの方々が来日されます。より日本の文化に触れるタイミングが多くなると思います。そこに外せられないジャンルがアニメであると私は考えています」と力を込めた。(デイリースポーツ・広川継)