【野球】由伸G“二塁手問題”は解消されるのか
大型補強を敢行した巨人で、最も埋まっていない穴は「二塁手」だろう。ドラフト1位で獲得した吉川尚(中京学院大)が、1月の合同自主トレ中に右腕の異常を訴え、キャンプは3軍スタート。正二塁手として期待されていたルーキーが出遅れたことで、構想は“白紙”に戻った。
昨年は71試合で先発したクルーズを筆頭に、9人が先発。今季は外国人枠の問題もあり、クルーズの出番はさらに減ることも予想される。キャンプの1軍メンバーには外野手から二塁に再転向となった立岡や楽天から移籍してきた柿沢ら、若手中心に「候補」が名を連ねている。
球団は長年に渡り、正二塁手の不在に頭を悩ませてきた。巨人の二塁手で最後のベストナイン受賞者は1987年、篠塚和典氏。守備の名手に贈られるゴールデングラブ賞も02年に仁志敏久氏が獲得して以来、誰も手が届いていない。
篠塚氏、仁志氏が守ってきた正二塁手が不在となったのは06年以降。これまでに楽天・松井稼頭央ら大物の獲得が検討されたことはあったが、球団は若手育成を優先。11年には藤村が106試合に先発し、盗塁王を獲得した。だが、翌年もレギュラーとして出続けることができず、振りだしに戻った。
14年には、西武からFAで加入した片岡が114試合に先発。だが、打率・252と低調な成績に終わり、15年と16年はけがの離脱を繰り返した。今年のキャンプもコンディション不良で3軍スタートとなり、開幕1軍は厳しい状況だ。
現時点でレギュラーに近い位置にいるのは、今季から二塁に再転向となった立岡か。15年には91試合の出場で打率・304。昨季は「2番・中堅」で開幕スタメンに起用された。陽岱鋼とマギーの加入でスタメン候補には右打者が多いこともあり、俊足の左打者が加われば打線にアクセントが付く。
2軍には脇谷、寺内ら経験豊富なベテランも控えるが、球団も若手の台頭を求めている。開幕まで残り1カ月。今年こそ、壁を突き破る選手が出てくるのだろうか。
【巨人、06年以降の最多スタメン二塁手】06年 小坂誠(57試合)07年 木村拓也(77試合)
08年 木村拓也(82試合)
09年 脇谷亮太(44試合)
10年 脇谷亮太(69試合)
11年 藤村大介(106試合)
12年 藤村大介(63試合)
13年 寺内崇幸(59試合)
14年 片岡治大(113試合)
15年 片岡治大(97試合)
16年 クルーズ(71試合)
(デイリースポーツ・佐藤啓)