【芸能】NHK上方漫才コンテスト 漫才なのになぜピン芸人が優勝
「第47回NHK上方漫才コンテスト」が2月24日に開催され、ピン芸人のゆりやんレトリィバァ(26)が優勝した。同コンテスト史上、ピン芸人の優勝は初めて。ネット上では「漫才のコンテストなのに…」と否定的な声もあれば、NHKの柔軟な姿勢に好意的な声もあった。制作者側はどう思っているのかを尋ねた。
「NHK上方漫才コンテスト」は1971年に始まった歴史あるコンテスト。結成から10年未満の若手芸人を対象としており、オール阪神巨人やますだおかだ、フットボールアワー、銀シャリら歴代M1王者も栄冠を手にしてきた。
「漫才コンテスト」と銘打っているだけにピン芸人の参加に疑問の声も少なくない。しかし、これまでも友近(43)などのピン芸人が出場していて決して初めてのことではない。今大会もフリップ芸を得意とするZAZY(28)とゆりやんの2組のピン芸人が本選に出場した。
NHKの佐橋陽一チーフ・プロデューサーは、「漫才イコールお笑いのコンテストというところで、ピン芸人もコントも含め、一番面白く、将来性もあると見込んだ6人に(本選に)来ていただきました」と説明。「しゃべくり漫才」が少なかったのではとの質問には、「しゃべくりそのものより、お笑いの見せ方が多様化している。コントやフリップ芸も含めて新しいお笑いが出てきている」との見方を示した。ピン芸について「しゃべくりに負けず劣らずの面白さがありますし」と述べ、漫才・ピン芸ともに紹介していきたいと意図を説明した。
佐橋氏は漫才にこだわるどころか、漫才と入る番組名の変更すら検討していたと明かした。しかし、「軽率に今の空気だけで『お笑いコンテスト』に変えるのも歴史を否定するようでもったいない」47回という歴史の重みについても触れた。佐橋氏は「応募される方に合わせて中身そのものも変わっていくということでいいんじゃないかな」と時代に合わせて変化していくことの意義を訴えた。
取材を通して、制作側の笑いの「多様化」に対する柔軟な姿勢を実感した。歴史のあるコンテストは、時代と共に新しい「笑い」を取り入れ続いていく。その意味で、ピン芸人が初優勝した今大会は、ゆりやんが優勝後のインタビューで述べたように「歴史の一幕」となったに違いない。来年以降も、漫才に限らずコントやさまざまなピン芸人も参加して競われるだろう。新たなスターの誕生に期待したい。(デイリースポーツ・石井剣太郎)