【野球】WBCデスパイネ劇弾の陰にオリ中島?

 WBC1次リーグB組から最後に2次リーグ進出を決めたのはキューバ。オーストラリア戦では4番・デスパイネ(ソフトバンク)の逆転満塁本塁打が決め手となった。

 1次リーグで10打数4安打2本塁打5打点と大活躍だったキューバの主砲。実はその陰にオリックス・中島宏之内野手の存在が隠れていた。

 デスパイネが打席に入る前、大事そうにスプレー缶を取り出してグリップに吹き付ける。日本では当たり前の光景だが、キューバでは珍しい。皆、固形の棒状の滑り止めをグリップにこすりつけて打席に向かう。

 「ナカジマにもらったんだ。2本もらったけど、もう1本使ってしまったよ。また、くれるかな?」

 人なつっこい笑顔を見せて大事そうに缶をしまった。

 それは3日に行われたオリックスとキューバの強化試合(京セラドーム大阪)の前だった。中島はデスパイネを見つけて旧交を温めていた。そしてこんな話を聞いた。

 「日本は寒すぎるよ。バットの滑り止めがこすっても溶けないんだ」

 これを聞いた中島はすぐに動いた。「ちょっと待ってて」とロッカーへ。スポーツ用品業者をつかまえて、持っているバット用の滑り止めスプレーを「僕が買います」とすべて購入。デスパイネに届けた。もちろんデスパイネは大喜び。以来、強化試合、WBC本番と愛用し続けているというわけだ。

 「ナカジマはとてもいい人。友達だよ」

 キューバは2次リーグでも侍ジャパンの強敵。その4番を助けたことになる。だが、中島には、そんな小さなことはまったく目に入らない。ライバルである前に同じ野球人。困ったヤツがいれば助ける。それだけだ。

 後輩が悩んでいれば、とことん話を聞いてやる。治療や練習法のアドバイスもする。1月の自主トレには伸び悩む伊藤光捕手、松葉貴大投手を連れて行った。その懐の広さが魅力でもある。

 もちろん、中島自身も移籍3年目の今年は充実した日々を送っている。心優しきナカジの大活躍を願う人は多い。(デイリースポーツ・達野淳司)

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