【ライフ】反対意見が多かった雑誌名「小学8年生」 あのジャニーズグループがヒントに
小学館から2月15日に第1号が発売された「小学8年生」は、大きな反響を呼んだ。「小学一年生」のみを残して、少子化の影響などで休刊が相次いだ学年別学習雑誌の後継誌。内容とともにインパクト大の雑誌名が注目を集めたが、社内では当初、酷評の嵐だったという。
「小学○年生」シリーズには全て漢数字が入っていた。「小学8年生」は1~6の形に変化できるデジタル数字の「8」。全学年対応の雑誌コンセプトを表現した斎藤慎編集長は「全く受け入れてもらえなかったんです」と振り返った。
新たな学習雑誌発売に向けた昨秋の会議。「小学8年生」を推した斎藤編集長は、他部署から「留年感がある」「中2病的な感じがする」「内容が伝わってこない」とダメ出しを受けた。「増刊号の時は『増刊だし、いいんじゃない』という感じだったのに」と面食らった。
「小学8年生」は昨年7月、試金石的な意味合いを持つ「小学二年生(昨年12月発売の2・3月合併号をもって休刊)」の増刊号(通称ゼロ号)として発売されていた。「好評をいただいて、編集部としても手応えを得ていました。個人的にも学習誌に20年携わってきた中で、腑に落ちたのが『小学8年生』だったんです。評判がいいものを変える必要は感じませんでした」。最後は編集部の熱意を押し通した。
増刊号の準備が始まったのは昨年春。編集部内では既に「小学二年生」が休刊に向かっている空気が漂っていた。斎藤編集長は「『小学一年生』だけにしてしまっていいのか。いいわけがない」と意気込んだ。学年のカテゴリーを設けない学習を目指す編集方針などができあがった。
紆余曲折したのがタイトルだ。シンプルに「小学生」という案もあった。斎藤編集長は「歴史がありますから『小学○年生』の形は残したかった。無限大を表す記号∞を入れた『小学∞年生』という案が出た際、∞をどう読んでもらおうかと編集部で話し合いました。関ジャニ∞と同じように『エイト』にしようとなった時に、エイトでもデジタル数字の8なら1~6を全て表現できるぞ、と気付いて、その流れで決まりました」と説明。ジャニーズのアイドルグループがヒントになった。
会議では酷評された「小学8年生」の第1号。手作りチョークと黒板ノートの付録、トランプ米大統領の伝記まんが、学校の備品の値段を特集した「小学校お宝探し」、卓球の「みうみま」ペアで知られる平野美宇、伊藤美誠選手へのインタビューなど、大人でも楽しめる内容になっている。
また、他部署の尽力で増刊号とは比較にならない程、メディアへの露出などの販売強化があった。斎藤編集長は「おかげさまで書店からは売り切れの報告をいただき、こちらの予想以上の反響です。付録の関係で増刷は難しいのが申し訳ないです」と、感謝を口にした。
「小学8年生」は今後、第2号を4月27日、第3号を7月15日に発売予定。第4号以降は決まっていない。斎藤編集長は「この反響は大きなプレッシャーですが、7月以降も雑誌を続けられるようハードルを乗り越えていきたい」と気を引き締めた。1922年に「小学五年生」「小学六年生」(ともに2009年度に休刊)が創刊されて以来続く歴史。学習雑誌の未来を担う、強い使命感をにじませた。(デイリースポーツ・山本鋼平)