【野球】「鯉の季節まで」と揶揄されたのは昔の話 阪神が奮起しなければ広島が独走する
プロ野球が開幕して3カードが終わり、11日から4カード目となる。セ・リーグは広島が開幕戦こそ落としたが、2戦目以降負けなしで7勝1敗1分けの首位。2位には開幕から5連勝した巨人が6勝2敗で追う。阪神は4勝4敗の勝率5割で3位につけている。
開幕前の順位予想で阪神を優勝に推した阪神OBでデイリースポーツ評論家・藤田平氏は阪神の戦いを「良くもなく悪くもないスタート。対戦が一回りしないとなんとも言えないが、まあ、5月くらいまでは少々負けても取り返せる」と、振り返った。
昨年2位に甘んじた巨人はオフに大型補強を敢行。開幕5連勝で強さを示したが、藤田氏は恐れていない。
開幕から3カード目で阪神-巨人の伝統の一戦が甲子園で行われた。結果は1試合が雨天ノーゲームとなり1勝1敗。阪神が逆転勝ちした9日の試合で、藤田氏は巨人のもろさを見つけていた。「投手交代を誤った巨人に阪神が勝たせてもらったような試合」と指摘したのは、ソフトバンクからFA移籍で加入した森福の続投だ。
巨人は同点とされた七回1死一塁で大竹から左腕森福にスイッチ。代打糸原が犠打を決め2死二塁の場面で、阪神ベンチは左の高山に代えて右の中谷を送った。この場面は森福が中谷を三邪飛に仕留めたが、ここで右投手を起用してもよかった。八回も続投で先頭の右打者・上本に決勝本塁打を浴びた。「森福の交代機は2度あった。細やかな投手継投ができなかった巨人を見ていると、ペナントレースを独走するとは思えない」とベンチの采配に首をひねった。
一方で首位を走る広島は、開幕戦こそ阪神に敗れたが、1分けを挟んで7連勝。「昔から乗ると怖いチーム。加えて堅実な野球をしておりこのまま走るんではないかと心配している」という。
1990年代後半からの低迷期には開幕ダッシュに成功しても「鯉の季節まで」と揶揄され5月が過ぎれば失速していた。しかし、今は違う。藤田氏は「打撃陣は左右どちらの投手も苦にしていない。足を使った攻撃もできる。守りもいい。投手陣も昨年は前田が抜け、今年は黒田が抜けたにもかかわらず若い投手が出てきている」と投打ともに安定していると評価する。10日に守護神の中崎が故障で出場選手登録を抹消され不安もあるが、昨年よりも力を付ける若手投手陣は脅威と見ている。
11日から今年初のビジター6連戦となる広島は、本拠地で強い。開幕シリーズで阪神が負け越したが藤田氏は「マツダスタジアムではファンの後押しというのか、相手チームを飲み込んでいる。若いチームではあるが、昨年の優勝経験があり選手も少々の劣勢でもあわてることがない。緒方監督も優勝を経験し、采配にも自信を感じる」と分析。「広島が突っ走ると、いくら試合数が残っていてもなかなか追いつくことができないぞ」と巨人より広島を警戒する。
阪神は14日から甲子園で広島を迎え撃つ。広島の独走を許さないためにもこの3連戦は是が非でも勝ち越す必要があるだろう。(デイリースポーツ・岩本 隆)