【サッカー】ハリルホジッチ監督が被災地に寄り添うわけ
4月9日に熊本地震の復興支援試合として行われた、サッカーのなでしこジャパン-コスタリカ代表の親善試合。試合会場には、男子のA代表を率いるバヒド・ハリルホジッチ監督も訪れ、試合前には1年ぶりに被災地の子供たちと再会を果たした。熊本地震発生から約1年。今でも、スーツには「くまモン」のピンバッジを欠かさずにつける指揮官に、被災地に寄り添う心を見た。
いつもは少々“コワモテ”のハリルホジッチ監督が、満面の笑みを見せていた。試合会場の一室。約70人のサッカー少年・少女たちに、「1年たったら戻ってくると話していましたね。今回、2回目の訪問ができました。また会えてうれしい」と語りかけた。
昨年5月5日、こどもの日にハリルは熊本にいた。県庁だけでなく、避難所や避難生活中の子供たちがサッカーをしていたピッチなどを訪問。一日中、県内を駆け回り支援物資を届け、少年少女たちに声をかけていた。そんな日に、県庁でもらったのが「くまモン」のバッジだった。それ以降、ハリルホジッチ監督は日本代表のオフィシャルスーツを着る際、協会のエンブレムバッジと共に「くまモン」バッジを付けるようになった。再会の場でも、子供たちに対して「ロシアにも付けていきたい」と、W杯行きも約束していた。
震災発生後も、早期の熊本入りを希望していたハリルホジッチ監督。なぜか。日本協会の田嶋会長は「彼も、内戦で被災しているわけだからね」と説明した。指揮官も「初めてここ(熊本)に来た時、全壊した家を目の当たりにした際、自分が経験した内戦を思い出した。その内戦の時に見た、子供たちの表情をここでも見た。あれを忘れることはない。そして、その時に『1年後にまた戻ってくる』と約束した。そして(今回)子供たちの笑顔が見られてうれしかった。楽しそうな子供の表情を見るのは良いものだ」と語った。
「日本代表の勝利は、被災した人々の勝利でもあると思う。W杯に出場できたら、この地域の人たちにとってもプレゼントになる。W杯出場を決めて、その後、あいさつしに(熊本に)来られれば良い」。多くの人たちの思いを背負い、ハリルジャパンは戦っていく。(デイリースポーツ・松落大樹)