【スポーツ】パラ陸上の山本「桐生君の盛り上げに乗りたい」
パラリンピック・リオデジャネイロ大会男子走り幅跳びの銀メダリスト、山本篤(35)=スズキ浜松AC=が、4月29日にエディオンスタジアム広島で行われた織田記念国際陸上のパラ男子100メートルに出場した。歴史あるこの大会では今年初めてパラ競技種目が行われ、男子100メートル(T42/44/47)、女子走り幅跳び(T42)が実施された。
T42(片大腿切断など)の100メートル、走り幅跳びの日本記録保持者の山本は、ほかのクラスと混合の100メートルに参加。「グランプリ・シリーズに入れてもらってすごくありがたい。いろんな人のいるところで走れるのはモチベーションが上がる」と興奮冷めやらぬようすだった。
この日は日本人初の9秒台の期待がかかる桐生祥秀(21)=東洋大=が参戦していたため、観客も多く「気持ちよく走れた」。桐生の人気を目の当たりにし「リレー(男子400メートル=切断など)で僕らも同じようにメダル(銅)を獲れた。この盛り上がりに乗りたい。まず競技を知ってもらいたい」と意気盛んだ。
元はバレーボール選手。アタッカーとして活躍していたが、高校2年の時のバイク事故で左足をももから切断した。高校卒業後にパラ陸上に出会い、大体大時代は健常者と同じ陸上競技部に所属。同大学院では自身の走りを科学的に分析するなど、肉体と頭脳で競技にアプローチし続けている。今年2月に長野県でスノーボードの全国障がい者選手権に出場し、来年の平昌パラリンピック挑戦も視野に入れるなど話題も事欠かない。
世界パラ陸上での走り幅跳びは2連覇中で、7月のロンドンでは3連覇を目指す。「ピークを7月に持っていけたら」。パラの伝道師が桐生に負けじと陸上界を盛りあげる。(デイリースポーツ・船曳陽子)