【サッカー】浦和・森脇、欠いた冷静さが引き起こした暴言騒動
「くさい」発言から大騒動となった4日の浦和-鹿島戦(埼玉)を受けて、Jリーグは9日の規律委員会で浦和DF森脇良太に2試合の出場停止処分を科した。
鹿島MF小笠原満男は、発言はブラジル人MFレオシルバに対して発せられたものとし、森脇は口論の中、飛んできたツバに対するものだと言う。お互いの主張は平行線のままだが、今回の処分で、一応の決着という形になった。
そもそも“事件”はなぜ起こったのか。
森脇は謝罪会見で、こう話している。
「性格的に試合に入るとレッズで勝ちたい、この試合で勝ちたい、という気持ちが強くなりすぎて相手とバトルをしてしまうところもあるんですけど…」
発端は浦和陣内の左サイド、浦和FW興梠が、鹿島MF土居を倒したところからだった。そこへ付近にいた小笠原、レオシルバらも含めた小競り合いに発展。当時、逆サイドにいた森脇は長い距離を走って騒動に介入したのだった。
鹿島には時間を使ううまさがある。元日の川崎との天皇杯決勝では小笠原が中村に詰め寄り、両軍が入り乱れた一触即発の事態となったことがあった。小笠原は当時、こう話している。
「パフォーマンスのひとつ。怒っていたわけではなく、そういう細かいところにこだわって流れを引き寄せる、戦うんだというのが大事なこと」。
事実、その後は試合をコントロールして勝利を得た。
今回の試合に置き換える。1点リードの終盤での小競り合いは、鹿島の試合巧者的な部分の現れだろう。逆に劣勢の浦和にとって、何もメリットもないはずだ。そこに猛進してきた森脇は、まさに飛んで火に入る夏の虫だった。その上で発せられた「くさい」という発言で、鹿島側の“パフォーマンスのひとつ”ではなく、本当の騒動に発展しまった。
森脇は謝罪会見で、こう話した。
「そういうところを一度冷静になる。僕自身冷静にならなきゃいけないかなという思いでプレーしていましたが、なかなかできなかったのが未熟さかなと」。
あの試合。騒動を大きくさせる必要はまったくなかったはずだ。やるべきことは同点、逆転を目指して、迅速に試合を再開させること。そういうスタンスなら、大問題に発展することはなかった。
「多くの人に迷惑をかけて、さらに悲しませてしまったという事実があるので、今後間違いなくそういう行動はとらないと心に誓った」。
2試合の出場停止を経て、復帰するときには風当たりは強いかもしれない。その中で、反省の言葉を実践して、時間をかけて信頼回復に努めなければならない。そのときに「レッズで勝ちたい」「この試合で勝ちたい」という思いはもっと生きるはずだ。(デイリースポーツ・鈴木創太)