【野球】マー君、岩隈のコンディションを整えた新米高校教師
プロ野球界から転職し、積年の思いをかなえ、高校の教員になった元コーチがいる。2013年まで楽天でストレングス&コンディショニングコーチを務めた小山隆司さん(36)。コーチ時代はヤンキース・田中将大、マリナーズ・岩隈久志のコンディショニングを整えることに尽力し、楽天時代の2人の高成績を残す一端を担ってきた。
楽天の日本一を機に球団のコーチ職を退職。米国への語学留学を経て、今年の4月から栃木県・小山北桜高の保健体育の教員と、野球部のコーチを務めている。ノックバットを握り、部員にノックの嵐を浴びせる姿からは、記者が楽天担当時代に接した頃と変わらぬ野球への情熱を感じた。現在も連絡を取り合うヤンキース・田中には、小山北桜高で教べんを執ることが決まってからLINEを送り「怖い体育の先生なんですね」と返答があった。田中も小山さんの今後を気にしている。
順風なコーチ生活を送っていた小山さんは球団から解雇通告を受けたわけではなく、退団を決意し、目標だった教職の道へと進んだ。「もともと教員になりたかったんです。プロでは勝ち負けが大事ですが、自分にとっては、それよりも大切なものがあった。それをやるには教育現場だと思ったんです」。
楽天のコンディショニングコーチ時代を見てきて、なかなか多忙な生活を送っていると思っていたが、高校教師の1日もなかなかハードだ。新米教師は8時の始業前に学校へ出向き、保健体育の学問の勉強や、授業の予習を行う。野球部の朝練にも参加し、放課後は夜9時ごろまで野球部の練習に付き合う。
小山北桜高はかつてはソフトバンク・高谷を輩出したが、現在は強豪校ではない。今年の目標は、夏の栃木大会の初戦突破。「田中だったり、プロの世界で頭一つ、抜けてる選手というのは修正能力だったり、1球1球、1日1日を無駄にしない。生徒に一流選手のマインドとかモチベーションを伝えられたらいいですね」。プロ野球界での貴重な体験を生徒に伝え、各方面で活躍する人材を育てることが目標だ。(デイリースポーツ・水足丈夫)