【サッカー】U20W杯だけじゃない!3年後の東京五輪へ、もう一つのU20代表候補
韓国で開催されるサッカーU-20W杯(5月20日~6月11日)に臨むU-20日本代表は、21日に1次リーグ初戦の南アフリカ戦(水原)を迎える。1997年生まれ以降の選手で構成された20年東京五輪世代の代表チームは、2001年生まれのFW久保建英(15)が飛び級で選出されるなど注目を集めている。
11~16日まで静岡県内で国内合宿を行っていたU-20代表と時を同じくして、大阪・堺市内では9~13日までもう一つのU-20代表が合宿を行っていた。U-20代表“候補”として招集されたのは98、99年生まれの2世代で実質のU-19代表。今年のトゥーロン国際大会(5月29日~6月10日、フランス)に臨む中核メンバーで、99年生まれ以降の選手は今秋に19年U-20W杯予選にあたるU-19アジア選手権にU-18代表として出場する。今回U-20W杯代表入りは逃したが、彼らもまた東京五輪世代。影山雅永監督(49)が「世代の切れ目なく強化したい」と語ったように、東京五輪を見据えた底上げの合宿だった。
合宿中に行われた練習試合ではJFLのFC大阪に2-1(30分×3本)で勝利。U-20米国代表戦(45分×2本)は1-2で敗れたが、U-20W杯に出場する北中米カリブ海王者相手にMF黒川淳史(19)=大宮=のゴールで先制するなど接戦を演じた。
FC大阪戦でゴールを決めた大分県出身のFW安藤瑞季(17)=長崎総合科学大附高3年=は中学時代、県選抜にも入れなかったというが、高校入学後に頭角を現し、16年3月のサニックス杯でU-17代表に初選出された。今年2月にはU-18代表のスペイン遠征に招集され、4月に日本高校選抜の欧州遠征にも参加。高校サッカー屈指のストライカーとして、Jクラブの注目を集める存在となった。影山監督が「今時珍しく野性味が残っている」と評するように荒削りながらも果敢なプレーが持ち味。FC大阪戦の得点シーンでも、こぼれ球に頭から突っ込み、足を出してきた相手に競り勝ってDFラインを突破した。
理想とするFWに元日本代表の大久保嘉人(34)=FC東京=を挙げ、「ゴール前での勘の鋭さ、貪欲さは自分にも必要だと思う。大久保嘉人選手は特別な存在」と目を輝かせる。長崎総合科学大附高の小嶺忠敏監督(71)は長崎・国見高時代に大久保を指導。練習後などに小嶺監督から当時の大久保について話を聞くという安藤は「『昔、嘉人は…』と懐かしそうに話をされていて、自分も将来はこういうふうに小嶺先生に話されるようになりたいと自覚も芽生えた」と大先輩の背中を追う。
U-20米国代表戦で先制点を挙げた黒川は大宮の下部組織出身でトップ昇格2年目。リーグ戦で降格圏に沈むチームにあって、出場2試合(計76分間)と定位置をつかみ取れていないが、「この合宿を無駄にせず、帰ったら大宮がもっといいチームになれるように還元したい。また、U-20W杯出場を逃したことについても「逆に見返す気持ちで、チームで結果を残して代表に選ばれていきたい」と次なる目標を見据えた。
合宿最終日のU-20米国代表戦を終えた影山監督は「戦える選手とそうでない選手の差が見えてしまうが、貴重な負けだった。『5日間、面白かった。ありがとう』と伝えた。U-20W杯に行けなかった選手、無名の選手が『俺もここにいるんだぞ』というのを出したくてウズウズしている」と熱っぽい口調で語った。
18日にはトゥーロン国際に出場するU-19代表20人が発表された。大阪合宿に参加した選手からは14人が選出された。3年後の東京五輪へ向けた切磋琢磨は続く。(デイリースポーツ・山本直弘)