【野球】広島・堂林、新井の金言胸に出番に備える
野手陣が休日だった15日、広島・堂林翔太内野手(25)がマツダスタジアムに姿を見せた。ここ最近は打撃の精彩を欠き、「少しでも良くなればいいと思った。いいものを取り戻したい」と復調に向けて、真剣なまなざしで言った。
開幕直後は数少ないチャンスをモノにしていたが、限られた中で調子を維持することはやはり難しいようだ。ウエートトレーニング量を増やし、意識的に体に張りを作るなど、いろんな工夫を凝らしているという。
不退転の決意で臨んだシーズンだ。昨秋から新井に弟子入りし、打撃フォームを固め、護摩行にも同行した。キャンプでは「継続」というフレーズを繰り返して、バットを振り続けた。3月のオープン戦でもチームトップタイの17試合に出場。緩やかに描く成長曲線は、1軍首脳陣からも評価されていた。
3月下旬のことだ。主力選手の実戦出場が増え、堂林の出番機会は次第に減少。開幕スタメンは絶望的な状況となった。リーグ連覇を目指すチームの選手層は厚い。スタメンに名前を連ねるのは簡単ではない。そんな時、新井からこんな言葉をかけられたという。
「何が起こるか分からないから、しっかり準備しておけ。オレが本塁打王を取ったときもそうだったから」
05年、新井は開幕をベンチで迎え、4番にはラロッカが座った。だが開幕3戦目に助っ人が離脱。スタメンのチャンスをつかむと、ここから猛アピール。終わってみれば、43本塁打を放ち、自身初の本塁打王に輝いた。同年のシーズン最終戦は新井が4番に座っていた。長丁場のペナントレース。想定外のことだって起こる。何よりも準備が大切と知るからこそ「若い頃の自分と重なることが多い」という堂林に自身の経験を伝えたのだろう。
堂林はここまで主に代走や守備固めで24試合に出場し、打率・263、5打点。定位置を狙う一塁、左翼にはエルドレッド、松山、そして新井がいる。ライバルは強力だ。だが下は向くことはない。出場に備えて、最高の準備を整えるだけだ。シーズンはまだ100試合も残っている。=数字はすべて5月20日の時点(デイリースポーツ・杉原史恭)