【野球】首位打者浮上の広島・安部、成長の陰に新井のバットあり

 広島・安部友裕内野手が26日の巨人戦(東京ドーム)で規定打席に達し、セ・リーグの首位打者に躍り出た。

 2007年度高校生ドラフト1位指名で福岡工大城東から広島のユニホームに袖を通した。身体能力が高く将来の遊撃手として期待された。2軍で結果を出し11年に1軍初昇格。12、13年に2年続けて100打席以上の1軍出場を果たしたが、14年にはわずか3試合、3打席に終わった。

 14年は遊撃手に大学、社会人を経て入団した同級生の田中広輔内野手がレギュラーをつかみ、二塁も大学出で同級生の菊池涼介内野手が守る。2人に押し出されるように2軍暮らしが続いた。

 そんな安部に転機が訪れた。14年オフに広島に復帰した新井貴浩内野手の存在だ。左の中距離ヒッターである安部と05年に本塁打王に輝き、昨年まで306本塁打を放った右の大砲の新井。タイプは違うが、新井のバットを譲り受け、打撃練習を繰り返した。

 15年は安部モデルと新井モデルのバットを併用したが、16年には15年の新井モデルを使用した。15年のみ背番号「28」を背負った新井。16年に安部が使用したバットには「C28」と刻印されていた。シーズン中に「あと5本しかないんですよ」と大事そうに「C28」とグリップエンドに刻印されたバットを持っていた姿が、今も思い浮かぶ。

 新井バットで昨年、キャリアハイの成績を残した。115試合に出場し、外国人のルナらと併用される形で主に三塁手として259打数73安打、打率・282の数字を残した。昨年を足掛かりに今季は三塁を主戦場にしながら好調な打撃を生かして一塁なども守っている。

 残り5本だった新井バットは「シーズンが終わるときには1本しか残ってなかった」という。今季のバットは「去年と型は同じ」と、自身が愛用するメーカーに新井バットと同じ型を発注した。「今はたくさんバットがありますよ」。グリップエンドに自身の背番号が刻印された新井型バットを相棒に安打を量産する。(デイリースポーツ・岩本 隆)

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