【野球】プロ野球選手も悩まされる「腰痛」 現役トレーナーが語る“防止策”
年を重ねてくると、必ず身体の悩みを抱えてくる。ふとした拍子に、膝を痛めたり肩が上がらなくなったり。今回は日本人の成人の90%が一生に一度は経験している「腰痛」に注目してみた。
記者自身も高校時代に「ヘルニア」と「腰椎分離症」を同時に発症して今でも苦しんでいる。光線治療など、さまざまな角度から治療を施してきたが、時間がたてばすぐに痛みを伴う。私生活にまで支障が出るほどだったが、地道な努力が“最善の薬”になると感じている。
その薬とは、ストレッチだ。なかなか継続することも難しいが、辛抱強く続けていれば、痛みは和らぐ。だが、それはあくまで私個人の見解。せっかくプロ野球という仕事に携われているのだから、関係者に改善の策はないか聞いてみた。
実はプロ野球選手も「腰痛」に悩まされることがよくあるという。例を出せば現在、広島で活躍している新井。阪神時代は「腰椎分離症」を負い、悩まされた過去がある。
野球選手が腰痛に悩まされることについて阪神の小滝康樹トレーナーは「左右非対称の動きが多いから」と説明する。
例えば、右投げ右打ちとあるように一方にひねる動きがどうしても多くなり、筋肉のバランスを欠いてしまう。よく野手が右打ちでスイングを行い、その後、左打ちで軽めのスイングを行うのを見たことがある人もいるだろう。そんな風にバランスを考えながら日々の練習をしていても、どうしても非対称の体になってしまうのだ。
まず「腰痛」を改善するためには「状態を見極める」ことだという。
「腰痛にはいろんな種類がある。背後の筋肉が固まってないか。後ろにある筋肉が固まっていれば、前屈したときに筋肉が引っ張って痛みが出ることがある。逆に体を反る時に痛みがあるなら前側の腸腰筋や大腰筋などが固まっている可能性もある。または、神経に問題があるのか。それぞれによって電気を当てたり、マッサージを受けたり、方法が変わってくる」
まずは検査を受けることが最優先だが、痛みの感じ方などで自身でも理解できるようだ。それによってどこの筋肉が固まっているかにを把握し、ストレッチなどでほぐすことも大切になる。意外にも腰が痛いからといって背中ばかりを気にするのではなく、ふくらはぎ、ハムストリング(太もも裏)などを柔らかくすることで体全体の張りを和らげることになるそうだ。
そして普通では考えられない部分に原因があるかもしれないという。それは「脳」。確かに一度、「腰痛」を経験すると、その痛みは忘れられない。「最近では勝手に痛みが怖いと思い込んで筋肉が自然に緊張してしまうから、という話もある。それによって、本来の痛み以上に痛みを感じているかもしれないね」と小滝トレーナーは話してくれた。
実に興味深い情報を得た。私も「あっ」と思えば、手遅れだったりすることがある。激痛がくるのが怖いから、痛みがこないようにのそのそと歩いてみたり、腰をできるだけ曲げないように行動したり。それが逆効果だったのか。「腰痛」に立ち向かうためには、ストレッチなどを継続して「恐怖心」を取り除くことが最善の策かもしれない。(デイリースポーツ・山本真吾)